沖縄県にある米軍基地のひとつ、普天間飛行場の移設先である辺野古沖の埋め立て工事について、仲井真弘多・沖縄県知事が27日に承認する方針であると、26日付各紙が報じた。

仲井真知事は25日、安倍晋三首相と首相官邸で面会した。

その中で「新型輸送機MV22オスプレイの訓練の半分を沖縄県外で実施できるよう検討」「日米両政府で新協定の作成交渉をする」「2021年までの沖縄振興予算が毎年3000億円台」といった約束を受け、「高く評価できる」と発言。普天間基地の移転先としての辺野古沖の埋め立て工事を承認する意向だ。

正式には27日に発表するとしているが、その前提となる県の事務調査は25日までに終わっており、申請書類に不備がないことが確かめられている。

米軍基地の普天間飛行場については、移設が検討され始めてからこれまでに17年が経過している。

普天間飛行場の土地について、住民への返還を日米両政府が合意したのが1996年。その移設先として、名護市辺野古が浮上した。1999年には稲嶺恵一知事(当時)が移設候補地として辺野古を正式決定したが、2009年に鳩山由紀夫首相(当時)が「県外移設」を提示したため、仲井真知事は県外移設を主張しはじめた。2012年末に自民党政権が再び県内移設を打ち出し、やっと今、移設問題が決着しつつある。

基地移設問題のこの「迷走」ぶりについて、ある中国高官は、日本人ジャーナリストに「基地の移転にこれだけ時間がかかるというのは、中国からすれば、日米同盟はすでに終わっているように見える」と語ったという。

沖縄の米軍基地は、日本の国防にとって重要だ。中国がその領有権を一方的に主張している沖縄県・尖閣諸島に近いということもある。また、沖縄は日本の海上輸送の要でもあり、石油など、資源の多くを輸入に頼っている日本にとって、シーレーンの防衛は死活問題だ。沖縄に米軍基地があることの価値は計り知れない。

その米軍基地の移設に関して、一度決定したことを二転三転させて日米同盟に亀裂を作り、尖閣諸島を狙う中国につけ入る隙を与えた。住民の意見は尊重すべきだが、中国の軍拡の速さに対応するためには、国防問題でもたついている余裕はないだろう。国防関連の意思決定はスピードが命だ。危機が起こってから考えているようであっては、国民全員の命を危険にさらすことになる。今後、同じような事態を繰り返してはならない。(居)

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