中国が、虎視眈々とねらう沖縄で、独立運動がくすぶっている。22日付読売新聞は、尖閣国有化1年の連載記事で「沖縄独立 最悪のシナリオ」について触れ、警鐘を鳴らす。一方、同日付東京新聞は、米軍普天間飛行場の移転先として埋め立て予定の辺野古沖に、「ジュゴンが戻った」と騒ぎ、移設の見直しを迫る。日本人は国家の存続をかけて、この問題に答えを出すべきだろう。

読売新聞は、今年5月に、沖縄の独立を目指す民間団体「琉球民族独立総合研究学会」が結成されたことを紹介。同会の設立趣意書は、「琉球は、日本、米国の植民地となっている。日本から独立し、全ての軍事基地を撤去し、平和と希望の島を自らの手でつくりあげる必要がある」という内容だ。

これと合わせて、同紙は、朝日新聞の元主筆である船橋洋一・日本再建イニシアチブ理事長のインタビューを掲載。「中国から『琉球の帰属は未解決』という論評が出てきたのは、尖閣の問題を歴史問題にからめ、日本を二重三重に羽交い絞めにする外交攻勢の一環だろう」と警鐘を鳴らした。

本誌でも紹介してきたが、今、尖閣をめぐって懸念されていることは、中国側が、漁民や民間人に扮した武装集団を尖閣諸島に上陸させ、日本側が対応に困っている間に、事実上、尖閣を実効支配してしまうというケースだ。船橋氏は、そのケースを近著で「最悪のシナリオ」とするが、中国に親和的な朝日新聞の元主筆でさえ、こうした内容を書かざるを得ないほど、中国の覇権拡大が日本に迫っているということだろう。

そうした中で、まったく趣を異にするのが、東京新聞の記事だ。一面に、デカデカと「辺野古沖ジュゴン戻る」という見出しを立て、埋め立て予定の辺野古沿岸の海域に、ジュゴンがエサを食べた形跡があると報じ、識者のコメントを紹介しながら、「移設見直すべき」と主張している。

中国が、沖縄や台湾を占領するために、着々と軍備の拡張を進めているにもかかわらず、沖縄や日本、そしてアジアの人々の命よりも、ジュゴンの命を優先して守ろうというわけだ。苦笑を禁じ得ない。

ただ心強いのは、尖閣諸島を管轄する石垣市での動きだ。一昨年の教科書問題で、左翼陣営に敢然と立ち向かった玉津博克・市教育長が19日、これまでの沖縄の教育について、「平和教育の弊害は思考停止」と批判。以下のように発言した。

「現実の社会では平和がいいと言ったところで、戦争は忍び寄ることは世界の歴史が教えている。だから、(中略)どうすれば戦争を防げるかという視点から情報収集力、思考力、判断力、行動力を身に付けさせることを目標に実践されるべきものだと考えている」。非常に真っ当な見解である。

沖縄に軍事的な基地が必要なのは、すぐ近くに中国や北朝鮮という軍拡路線を突き進む、軍事独裁政権が存在するからである。沖縄から米軍基地を追い出そうとしている人々は、「戦争反対」と声を荒げるが、その声を、日本や米国でなく、中国や北朝鮮にこそ届けるべきである。そうすれば、守りたいジュゴンの命も守れるだろう。

日本は、アジアの平和を守るためにも、国家の意思としての国防強化や憲法を含む法整備を進める必要がある。(格)

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2013年5月15日付本欄 沖縄独立を目指す学会が発足 中国の属領になりたいのか

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6029