東日本大震災から3年が経った。地震や津波、または過酷な避難生活の中で亡くなった方々の冥福を心から祈るとともに、被災地のいち早い復興を願いたい。

3年目のタイミングに合わせてか、「避難生活で精神的苦痛を受けた」と東京電力に賠償を求める集団訴訟が各地で起きている。東電はいまだに被災者を苦しませる悪役にされ続け、被災者に対してこれまでに3兆円以上の賠償を支払ってきた。

しかし、東電は本来、賠償を支払う義務はない。

東電の賠償支払いは、「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法)という法律に基づいている。「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。」(三条一項)という条文だ。

しかし、この条文の後半には、非常に重要なただし書きがある。

「ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」。つまり、震災が「異常に巨大な天災地変」であれば、東電は倍賞を支払う責任はない。

何をもって「異常に巨大」とするのか。震災前、国会審議などにおいてその基準は、「関東大震災の2倍ないしは3倍以上」とされてきた。だとすれば、マグニチュード9.0の東日本大震災は、関東大震災の40倍以上の規模で、明らかに「異常に巨大」である。

そもそも、日本史上まれに見る大津波が起こした被害に対し、いち企業がこれほどの賠償を払うというのは、原賠法を持ち込まずとも明らかにおかしい。津波で家が流されて亡くなった人は多いが、家を造った建設業者が責められないのと同じことだ。

また、事故で漏れた放射能も、ほとんどの地域で年間100ミリシーベルト以下。健康に害のないレベルだ。今までも、将来にわたっても、原発から漏れた放射能による死者はいない。むしろ、そうした中で過剰な避難指示を出し、多くの震災関連死を生んだのは政府である。

むしろ、東電の技術と職員の奮闘が、津波をきっかけとする放射能漏れを最小限に留めたことが正当に評価されるべきだ。あれだけの大地震にも関わらず、安全装置が瞬時に作動し、原発の高い耐震性が実証された。その技術が世界を驚かせたことは、今も外国から日本製の原発の注文が来る事実が示している。また、東電職員も被害拡大を防ごうと命懸けで働いた。実際に、現場で指揮を執っていた福島第一原発の吉田昌郎所長は、心労がたたったのか、昨年食道がんで亡くなっている。

こうした中でもなお、避難による犠牲を「東電による人災」と見なす背景には、「原発の存在そのものが悪」という偏った見方がある。これが「大企業東京電力が、核技術で暴利を貪り、多くの人々を被ばくさせた」という、脱原発ありきの誤った認識を生んでいる。避難をしている人々の中にも、東電から賠償金を受け取っているがゆえに、東電が悪いと信じ込んでいる人が多い。震災から3年経った今、そろそろ東電の冤罪を晴らし、名誉を回復させるべきだろう。(光)

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幸福の科学出版 『もしケインズなら日本経済をどうするか』 大川隆法著

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