会計監査院は16日、東京電力福島第一原発事故の住民への賠償や除染のために、政府が東電に援助する額が上限の5兆円に達することがほぼ確実となり、その回収に最長で31年かかると発表した。東電から資金を回収するまで、政府が負担する利息は800億円にのぼる。
結局、これらは税金として国民が負担することになり、電気料金の値上げとのダブルパンチで、国民は二重の負担を強いられる。本来、不要な避難や除染をやめれば、こうした無駄な負担もなくなるはずだ。
現在、東電から被災者などへの賠償は国の資金援助と、電気料金の値上げでまかなわれている。安倍晋三首相は9月、汚染水対策に国が470億円を投入することを決めた。だがこれも結局は、税金による国民の負担となる。
会計検査院は、東電にコストカットや不動産の売却など、さらなる経営努力を迫り、自ら資金をねん出して、国の負担を減らすよう要請している。さらに今回、会計検査院は、原発事故をめぐる除染費用で国が立て替えた403億円のうち、336億円が未回収であることを指摘。東電は、除染で出た土を保管する仮置き場の設置費などが、除染費用に含まれるのか明確でないとして支払いを保留しているという。
2013年度までに政府が計上した除染費用は約1兆3000億円にのぼるが、今後も膨らむ可能性が高く、東電の広瀬直己社長は「一企業では背負いきれない」として、政府にも除染費の負担を求めている(17日付朝日新聞)。
しかし、そもそも被災者の避難や被災地の除染は、その多くが必要のないものだ。
たとえば、除染は年間の被曝量が1mSv(ミリシーベルト)以上の地域で行うことになっているが、国際的には、年間100mSv以下の被ばくであれば健康への影響はないとされている。政府は、しなくていい避難を強制し、必要のない除染を行うことによって、東電に多額の賠償金を払わせ、さらに、国民にも負担を強いているわけだ。
また、原発再稼働のめどが立っていないことも問題だ。16日には原子力規制委員会が再稼働のための審査の見通しを報告したが、審査のための資料を揃えた電力会社はまだない。安全基準の厳しさから、審査が始まってもクリアするのに時間がかかりそうで、このままでは、今後も各社の電気料金が上がって国民の負担が増えかねない。東電をはじめ各電力会社の経営はますます苦しくなるだろう。
政府やマスコミは、放射能の恐怖を過度にあおりつつ、その責任を被災者でもある東電に押し付けているが、いま必要なのは、過度な除染をやめて不要な支出を減らし、原発を再稼働させて電気料金の値上げに歯止めをかけることだ。東電を悪者にすることで、ますます国民に負担を強いるようなことはやめていただきたい。(晴)
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幸福の科学出版 『日本の誇りを取り戻す 国師・大川隆法 街頭演説集2012』 大川隆法著
(「脱原発」の間違いを指摘した、経済産業省前での大川総裁の演説を収録!)
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2013年10月4日付本欄 汚染水は海に流れて「飲めるレベル」 高いところでも基準値の100分の1以下で大丈夫
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6737
2013年5月号記事 福島は安全だ 今すぐ我が家に帰ろう - 反原発にだまされるな