汚染水の恐怖をあおる「報道被害」が止まらない。たび重なる報道で、国内外の多くの人々が「汚染水」と聞くと、反射的に「危険」と感じてしまうだろう。だが、海に流れた後の数値を見ると、実は飲料水として「飲んでも問題ないレベル」なのだ。

「the situation is under control.( 状況は、統御されています。)」

安倍晋三首相は9月7日、アルゼンチンのブエノスアイレスで行ったIOC総会におけるプレゼンテーションでこう語り、福島第一原発事故の悪影響は、東京には及んでおらず、これからも及ばないと明言した。だが帰国後に、安倍首相を待っていたのは、「汚染水の問題など、福島原発はコントロールされていない」という批判だった。

しかし、そもそも汚染水は、どの程度「危険」なのか。

原子力規制庁のデータによると、7月に行った福島県沿岸・沖合の20カ所で行った海水の放射能濃度の調査で、原発から半径20km圏内では、もっとも数値の高い地点の放射性セシウム(セシウム134と137の合計)の濃度は、リットルあたり「0.085ベクレル」だった。

この数値は高いのか、低いのか。次の数値と比較すれば、一目瞭然だ。

世界保健機関(WHO)は、飲料水の中に含まれる放射性セシウムの基準値を「10ベクレル」としている。さらに、この10ベクレルの濃度の水を1年間、毎日2リットルずつ飲み続けたとしても、内部被曝は年0.1ミリシーベルト程度にしかならず、仮に基準値を超えた水であっても、飲料水として適していないとは言えない、としている。

つまり、福島沿岸でもっとも濃度が高い地点の水でさえも、毎日2リットル飲み続けても健康被害が出ない数値のさらに100分の1以下でしかない、ということだ(もちろん、海水そのものを大量に飲むべきではないが)。

率直に言えば、安倍首相に対する「汚染水はコントロールできない」という批判は、「コントロールできていなくても、現状は、汚染水が漏れても問題ない」ということになる。原子力規制庁の担当者も、本誌の取材に対して、「汚染水が漏れたかどうかより、海洋モニタリングの際に、放射線量が基準値を超えないことが重要」という見解を示している。

安倍首相はIOC総会で「(放射性物質の)数値は最大でもWHOの飲料水の水質ガイドラインの500分の1」とも語っている。どの地点の数値を取るかでその程度は変わってくるが、トータルで見ると、現状は「安全」だ。

政府は、放射線の被曝量や除染の数値などについても「年間1ミリシーベルト以下」などと厳しく定めているが、WHOや国際放射線防護委員会(ICRP)などの国際機関が「年間100ミリシーベルト以下の放射線による、人体への影響は認められない」としており、復興庁の役人も「福島の放射線量について危険か安全か、実は政府も分からない」と漏らしている。

政府もマスコミも「見えない恐怖」に過剰反応して、福島の復興を遅らせることをやめるべきだ。(格)

【関連書籍】

幸福の科学出版HP 『されど光はここにある 天災と人災を超えて』 大川隆法著

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2013年11月号記事 The Liberty Opinion 2 汚染水が漏れても問題なし 現状は基準値の100分の1以下で「安全」

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2013年9月11日付本欄 震災から2年半 犠牲者が出る原因は放射線でなく、「恐怖心」だ。

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6622

2013年5月号記事 福島は安全だ 今すぐ我が家に帰ろう - 反原発にだまされるな

http://the-liberty.com/article.php?item_id=5792