このほど、中国軍は、南シナ海のパラセル(西沙)諸島にあるウッディ(永興)島に、地対空ミサイルだけではなく、戦闘機も配備していることが報じられた。

この件について主要紙が、どのように扱っているのかを比較してみた。

産経新聞=3、8面と社説で

期待通り、産経新聞の扱いは大きい。

一面の「きょうの紙面」で「中国、南シナ海に戦闘機」「緊張が高まるのは確実だ」とニュースを紹介。

社説に当たる「主張」では、「南シナ海と中国 軍事化への暴走を許すな」と、今回の事件を中心に対中戦略のあり方について論じている。

さらに3面では、この件を受けた米中が外相会談での非難応酬を報じ、8面ではインドネシア国防相が防衛体制の強化を表明していることを報じた。

国際社会の緊張感が伝わってくる。

読売新聞=1、2、3面

次は読売新聞。一面で大きく「西沙軍事拠点化を懸念」と報道している。

さらに一枚めくると、2~3面にまたがって、大きく解説記事を展開している。

南シナ海における中国の最近の動きを地図などを使って解説し、「米国が大統領選モードに突入して身動きが取りにくい状況を見透かして軍事拠点化を加速しているのは間違いない」と危機を訴える。

朝日新聞=なし

注目の朝日新聞。めくる。めくる。めくる……。見つからない。

内容的に少しかする内容といえば、4面の「尖閣警備巡視船 新造10隻そろう」。とはいえこれは東シナ海の話だ。

「もしかして、すでに昨日報じたのか」と思い、前日24日の朝刊をのぞいてみた。めくり、めくり、めくり、10面で「中国、南沙に高性能レーダー」の記事があった。

これも南沙諸島の話。今回の件は西沙諸島の話なので、やはり報道されていない。

600万を超える購読者は、「西沙での戦闘機配備」をどこで知るのだろう。

東京新聞=2面ベタ記事

そして東京新聞。1枚めくった2面に発見。

しかし、下の方にいわゆるベタ記事としての報道だった。ベタ記事とは、新聞の目立たないスペースにある、一段見出しの、重要性の低い記事だ。

重要なニュースなのに……

このニュースは、中国が中心的な軍事戦略として掲げる「接近阻止・領域拒否(A2AD)戦略」が大きく進んだことを意味する。中国はアジアの海からアメリカを追い出し、覇権拡大を加速させるプロセスだ。それも、米中外相のまっただ中で行なわれた。

(参照: http://the-liberty.com/article.php?item_id=10987 )

その重要性を考えると、朝日新聞もまさか無視するということはなかろうと信じたい。きっと、報道が遅れてしまったか、翌日、じっくり分析された報道が出るのかもしれない。明日の朝を楽しみにしたい。

(馬場光太郎)

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