2015年9月号記事
編集長コラム Monthly Column
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「沖縄の新聞は潰さなあかん」?
――「現代の神」マスコミはどこへ向かうか
本欄の歴史問題をテーマにしたコラムに大幅加筆した『「奇跡」の日本近代史―世界を変えた「大東亜戦争」の真実―』が発刊されました。戦後70年の今年、日本と世界の未来を創造していくために、必読の一冊です。
綾織次郎著
HSU出版会刊
自民党の若手議員が2015年6月末に開いた勉強会で、作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞は潰さなあかん」と発言。出席した議員が「マスコミを懲らしめるために広告収入をなくせばいい」と同調したことで、「言論弾圧か?」と各マスコミが大騒ぎした。
その2紙、琉球新報、沖縄タイムスの編集局長はそろって記者会見し、「全メディア、言論の自由への挑戦だと感じている」と訴えた。
確かに政権与党が本当にメディアを潰す法律でも作ろうものなら大変なことだが、結果として、自民議員が役職停止となるなど、"言論封殺"されたのは政治家の側だった。
マスコミの「言論の自由」は今や、選挙で国会議員を落とすこともできれば、当選させることもできる。実際、翁長雄志知事を昨年11月の知事選で"全面支援"し、当選させたのは沖縄のこの2紙だった。
地元紙や全国紙から"ダメ出し"されたら、政治家が選挙に勝つには極めて難しい。「政治家を"ギロチン"にかけ、クビにする」ことがマスコミの仕事になっている。
マスコミと正面から戦えるほど強い政治家は存在しない。政治家の「言論の自由」をマスコミが奪っており、立法・行政・司法の三権を越え、「第一権力」にのぼりつめていることを示している。