ユネスコ記憶遺産に「南京大虐殺」資料が登録された問題で、馳浩文部科学相がこのほど、パリで行われたユネスコ総会で、記憶遺産の登録プロセスを透明化する必要性を訴えた。

だが、中国が「南京」を申請した昨年6月から登録にいたるまでの1年4カ月の間、官邸も、外務省も、文科省も、この問題を知りながら積極的に反論してこなかった。

同じことはマスコミにも言える。昨年6月の申請について報じた後は、新聞もテレビもほとんど扱わず、登録が決まった後に、政府と一緒に騒ぎ立てている。危機が迫っていることを知りながら国民に伝えず、危機にのみ込まれてから騒ぐというのは、何とも情けない。

複数の識者が「幸福実現党」の動きに言及

この問題について声を上げ、国民に危機を知らせて来たのは、幸福実現党や保守系の識者などの民間有志だった。このほど発売された月刊「正論」(12月号)では、今までマスコミが黙殺してきた同党の動きについて、複数の識者が言及している。

「国家的危機に素早く対応したのは幸福実現党であった。自民党、マスコミ(アブダビの現地取材をしたのはNHKと共同通信のみであった)、国民全体にユネスコ記憶遺産についての認識不足による油断があったことは否めない。」(明星大学の高橋史朗教授)

「南京事件研究家の阿羅健一氏は、程瑞芳日記を詳細に検討し、幸福実現党が4月8日に(ユネスコに)提出した反論文書の一部として批判文を執筆した。」(拓殖大学の藤岡信勝客員教授)

「『幸福の科学』は早くからユネスコに行き、中国がどのような資料を提出しているのか調べ、詳細な反論文書を提出している。さらに中国が政治的な立場から申請していることを訴え、都合4回もユネスコ本部に赴いた。」(近現代史研究家の阿羅健一氏)

大手紙の記者「幸福実現党のことは書かない」

昨年6月に中国が「南京」を申請した翌月、幸福実現党は都内で1700人規模の抗議デモを開催。今年に入っても、全国で集めた19万筆の署名を、今年4月に安倍晋三首相宛に提出し、措置をとるよう働きかけた。

また、同党は4月から9月にかけて、中国の申請資料の誤りを指摘した反論書を4種類作成。延べ100人超の識者の賛同を得て、4回にわたってパリのユネスコ本部に足を運び、申請を却下するよう求めた。

だが、同党の動きが、新聞やテレビで報じられることはほとんどなかった。

6月、父親が撮影した写真を無断で中国が登録申請していることに憤った産婦人科医の天児都氏が、同党の釈量子党首と「史実を世界に発信する会」事務局長の茂木弘道氏と、都内の外国特派員協会で記者会見した。その時、参加していたある大手紙の記者は、こうつぶやいた。「幸福実現党のことは書かない。これは“上"の判断だ」。

日本のマスコミは、主張の内容やその価値を考えずに、同党の活動を積極的に無視。その結果、「南京」資料が登録された。

マスコミは「公器」としての役割を果たすべき

信教の自由や言論の自由が奪われている中国や北朝鮮で民主主義が存在しないように、民主主義は、マスコミが健全に機能してこそ成り立つ。

ネットが広く使われているとはいえ、マスコミが特定の団体や個人の主張・活動を無視すれば、国民はその主張・活動を知る機会がなくなり、「なかったこと」になってしまう。

津波が来ることを知った人が声を枯らせて叫んでも、マスコミがそれを黙殺すれば、多くの人々が被害に遭うのと同じだ。マスコミの「黙殺権」が、日本を滅ぼす可能性もある。

日本のマスコミが「公器」としての役割を果たすつもりがあるのなら、「誰が正しいか」でなく、「何が正しいか」を見極め、事実・真実を報道していくべきだ。(格/中)

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