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中国は、南シナ海での軍事拠点化を急ピッチで進めている。

中国軍は、南シナ海のパラセル(西沙)諸島にあるウッディ(永興)島に、地対空ミサイルを配備だけではなく、戦闘機も配備していることが報じられた。

また、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島のクアテロン(華陽)礁など、中国が造った7つの人工島のうち、4つの島にレーダー施設が建設されているとの分析も報じられた。

これは、中国軍が掲げる軍事戦略、「接近拒否戦略」の一端だ。その目的は、ある地域に米軍が侵入したり、その地域で自由な行動ができないようにすること。

今回、地対空ミサイル、戦闘機、レーダーが配備されたことは、南シナ海を飛行する米軍用機など撃ち落とすことができることを意味する。監視能力、攻撃能力ともに上がり、米軍などの艦船や軍用機に対する抑止力は高まった。

南シナ海は、一段階高い戦闘準備段階に入ったと言えるだろう。

南シナ海での軍拡に対処できていないアメリカ

こうした中国の動きを受け、アメリカ太平洋軍のハリス司令官は議会上院の公聴会で、「前方展開基地に変容させようとしている」「中国は東アジアでの覇権を追求している」と中国を強く批判。さらに対抗策として、「航行の自由」作戦を継続すると強調した。

だが、米軍が進める「航行の自由」作戦は、中国へのけん制としてあまり機能していない。オバマ大統領が東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳らを招いて行った2月半ばの首脳会議でも、会議後の宣言に、中国の脅威を名指しで示す文言を盛り込むことはできなかった。

「南シナ海に米軍が近づけない」が意味するもの

南シナ海に米軍が近づけなくなる――。これは何を意味するのか。

南シナ海は、中東の産油国から日本に原油を運ぶシーレーン(海上交通路)だ。現在は自由に通ることができるが、もし中国が航行を禁止すればたちまち日本へのエネルギー供給は断たれる。そうなったとき、アメリカ軍が近づくことができなければ、中国の言いなりになるしかない。

さらには、中国大陸に近い東シナ海と違い、南シナ海には充分な深さがあり、核ミサイル搭載可能な原子力潜水艦を潜ませておくことができる。もし配備されれば、陸上から発射される核ミサイルよりも隠密性が高いため、神出鬼没にアメリカ本土を狙えるようになる。

そうなれば、尖閣諸島などが中国からの攻撃を受けても、アメリカは近づけないどころか遠隔地からの攻撃さえできない。

つまり、日本は、独自の防衛体制を整えなければ、愛する家族や友人を守ることができない。

中国に悪を犯させないために、核装備も視野に入れた防衛体制の強化が急務だ。

(山本泉)

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