日本企業による海外M&A(合併・買収)の勢いが止まらない。

28日付東京新聞によると、M&A助言会社のレコフの調べで、2012年1~9月のM&Aは、前年同期比7.4%増の364件となり、22年ぶりに過去最多を記録したという。

金額では4兆9900億円で過去三番目の水準となっている。

国内市場の停滞を背景に海外への事業展開が加速したほか、昨今の円高傾向も追い風となっている。

今年2月には三菱商事がカナダのエンカナ(資源)を約4800億円で買収することを発表。7月には電通がイギリスのイージスグループ(広告)を、8月にはダイキン工業がアメリカのグッドマン・グローバル(空調)を買収することを明らかにしている。

また、原発停止問題や日中関係の悪化などの背景から、商社による資源・エネルギー系の企業の買収が進んでいるのも特徴だ。

日本経済は「失われた20年」と言われるほどの長期低迷が続いているが、その間、企業は海外企業の買収や製造拠点のグローバル化を進めており、国際的な視野で見れば、日本企業が華々しく世界進出を果たしている面がある。

一般に円高は、日本経済にとって弱気の材料とみなされることが多いが、日米欧中の世界の四大経済圏の通貨のうち、相対的に円が一番強いという現実がある。その円パワーを背景に着実に、そして静かに日本は世界の経済覇権を握りつつあるという見方も可能なのだ。

消費増税などを控えて、景気の先行きの不透明感が広がる中で、日本経済の強みを冷静に見極めることも大切だ。(村)

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2011年12月29日付本欄 日本企業の海外企業のM&Aが過去最高 円高が追い風

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