カトリックの総本山であるバチカンの「正義と平和協議会」が24日、ピント外れの発言をしている。

ギリシャを中心とする債務危機問題について、「国際的な金融通貨システムの再編に向けて」とする書簡で、「世界中央銀行」の設立を求めたという。

ユーロ圏の経済問題は、ユーロ採用国の17カ国が、経済の規模も違えば、言語も民族も文化も違う中で、一本の金融政策で経済運営をするという無理をしているところに危機の本質がある。17カ国でも無理なのに、それを世界中に広げるという発想は、さらに無理がある。世界中央銀行は絵に描いた餅であり、幻想でしかない。

また、同協議会のピーター・タークソン枢機卿は、「ウォール街を占拠せよ」をスローガンとするデモについて、正当化されるとの見解も示している。

同協議会の提言では、金融取引への課税や財貨を大規模に蓄えることへの批判が盛り込まれており、全体的に左翼的な価値観にあふれた内容だ。

この提言の通りにしたら、欧州危機はより深刻化するだろう。

富を憎み、ゆえに、富を取り締まろうという発想のようだが、この考え方からは貧乏しか生まれない。世界を豊かにしたいのであれば、富を肯定する必要がある。

キリスト教、あるいはカトリックが、現代の経済社会への適合性を失っているように見えるのは気のせいか。それもマルクス主義と見まがうばかりの提言をするとあっては、宗教の使命を果たしているとは言えない。(村)