天安門事件30周年を前に、中国では民主化を求める動きへの警戒が強まる。

2019年7月号記事

天安門事件から30年

中国の若者が再び立ち上がる

中国共産党の最大のタブーである「天安門事件」から30年が経つ。

学生たちが命がけで求めた「自由な中国」はどうすれば実現できるのか。

1989年6月4日、北京の天安門広場に、多くの学生が民主化を求めて集まっていた。

だが、「中国を変えよう」という情熱は自国の軍隊の戦車に踏みつぶされ、希望は弾丸の前に砕け散った。

当時、数多くの海外メディアが弾圧の模様を報じたため、現在、中国以外の国には、さまざまな資料がある。しかし、共産党政府の徹底した情報統制によって、中国の若者の多くは事件の存在すら知らない。たとえ知っていても、口外すると弾圧の対象になるので、「自己規制」する中国人がほとんどだ。

天安門事件の後、政治改革の動きはタブーになった。それと同時に、中国経済の急速な発展の中で、大半の中国人は政治改革の夢を捨て、金儲けに走るようになった。

独裁に立ち向かう若者たち

天安門事件後の共産党の狙いは、国民の民主化への希望を打ち砕き、完全なる統制下に置くこと──のはずだった。

しかし近年、流れが大きく変わってきている。最大のタブーだった政治改革や体制批判に立ち上がる若者が、台湾や香港、そして中国本土からも出てきている。

中国から台湾に留学し、習近平政権の独裁体制に反対する動画を公開した大学生の李家宝さんは、「今の中国は暗黒政治だ」と憤る。

香港でも2014年の民主化運動「雨傘革命」のリーダーが、中国政府の圧力に立ち向かった。本土でも上海で習氏のポスターに墨汁をかけて抗議した若い女性や、実名で習体制を批判して、拘束される若者が後を絶たない。

彼らはなぜ、絶望的な状況の中で民主化への希望を失わずにいられるのか。天安門事件を振り返り、活動家の声をもとに中国の民主化の未来を展望したい。

次ページからのポイント

「血の弾圧」はなぜ起きたか

Interview 共産党に天安門虐殺を隠ぺいさせないために / 呉仁華氏

Interview 習近平体制は史上初のハイテク・ファシズム / 滕彪氏

"再び"若者が立ち上がり始めた!? / 李家宝さん / 周庭さん

Interview 中国民主化の第4の波が今到来している / 顏伯鈞氏

Interview 中国に「もう一つ」の政党を / 陳光誠氏