第7回「太平洋・島サミット」が22、23日、福島県いわき市で行われた。安倍晋三首相は基調講演で、島しょ国支援として3年間で550億円の支援を約束した。各紙が報じた。

太平洋・島サミットは、1997年から3年に1度のペースで、日本が太平洋の島嶼国の首脳を招待して行っている国際会議だ。今回は15の島国の首脳が集まった。太平洋の国々には親日的な国が多く、その関係を強化する貴重な機会でもある。個別会談で安倍首相は、マーシャル諸島やミクロネシア連邦に防災対策の支援を、ナウルやサモアには港湾整備費の協力を約束した。

こうした人材育成や災害対策などの支援は、日本が太平洋の国々と共に発展していくためのものだが、太平洋に勢力を伸ばそうとしている中国に対抗する意味もある。

中国は現在、太平洋の国々への支援に力を入れている。一昨年は総額20億ドルの支援を約束し、バヌアツやクック諸島に官庁施設や小学校校舎などを寄付している。

中国の目的の1つには、軍事戦略があると見られる。中国はアメリカに、「広い太平洋は中国と米国の両国を受け入れる十分な空間がある」と、太平洋を2分するよう持ちかけている。ハワイ以西の島しょ国への支援で中国の勢力圏に取り込み、スリランカやミャンマーのように港湾などに軍事施設を作って、中国軍が利用する可能性は高い。トンガはすでに、大型サイクロンで破損したブナ埠頭を中国の支援で再建した。中国の漁船が独占的に利用できる港も出てきている。

西太平洋が中国の海になることは、日本としては容認できない。太平洋の平和を守るためにも、日本が島しょ国との親交を深めることは大切だ。

日本は、アジアインフラ投資銀行やシルクロード基金の設立など攻勢を強める中国の動きに注視するとともに、サミットを機に、太平洋の国々との協力を深めていきたい。(居)

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