民主主義や法の支配という価値観を共有する日本とアメリカが、ともにこれからの世界をリードしていく存在となれるか否か、重要な局面を迎えている。

安倍晋三首相は26日に訪米し、8日間にわたってボストン、ワシントンD.C.、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスを訪れる予定だ。

滞在中は、オバマ大統領との首脳会談をはじめ、米議会の上下両院合同会議で演説するという日本の首相としては前例のない機会も用意されている。この演説で首相は、日米両国が戦後、世界の平和と安定に貢献してきた経緯について言及し、日米同盟のさらなる強化を訴えるようだ。

18年ぶりのガイドライン見直しやシーレーン防衛の強化

また、27日にはニューヨークで、日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が開かれ、日本の自衛隊と米軍の役割を定める「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の見直しを18年ぶりに行う。

このガイドラインでは「切れ目のない日米協力」のスローガンを掲げる。東シナ海や南シナ海に侵出している中国に対する抑止力の強化のため、集団的自衛権を行使し、アメリカに向かう弾道ミサイルの迎撃や、シーレーン(海上交通路)防衛のための機雷掃海も盛り込む方針だ。

首脳会談では、ガイドライン再改定に向けての連携強化に加え、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)についても交渉の進展を確認すると見られる。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の対応についても協議する見通しだ。

一方、サンフランシスコへの訪問では、韓国系、中国系の住民が反日攻勢を強めているカリフォルニア州に首相自ら乗り込み、慰安婦問題に関する不当な主張を封じる狙いがあるようだ。

安全保障、経済、歴史認識においても日米強化が必要

現在、中国はAIIBに57カ国を集め、影響力の拡大を進めている。その中で日米は、安全保障面においてはガイドラインの見直しでアジア・太平洋地域の安全保障体制を固め、経済面ではTPP交渉の合意によって「中国包囲網」をつくることが欠かせない。

歴史認識の問題については、アメリカの中国系、韓国系の人々が反日活動を盛り上げているが、「南京大虐殺」「慰安婦の強制連行」などが歴史のねつ造であり、自衛のための戦争であったことを、日本はアメリカに理解させなければいけない。

安全保障、経済、歴史、イスラム国、ウクライナ問題……。日米の間には解決すべき、あるいはより一層関係を強化していくべき課題が山積みだ。しかし、いずれの課題においても、日本はこれまでのようにアメリカに付き従うのではなく、今、世界で必要とされている「地球的正義とは何か」について、自らの考えを発信し、行動で示す、世界のリーダー国家に生まれ変わる必要がある。(真)

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