朝日新聞は、従軍慰安婦をめぐる報道について、その一部に誤りを認めた。5日付の記事では、韓国の済州島で慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏の証言を、「済州島で再取材したが、証言を裏付ける話は得られなかった」とし、同氏に関する記事を取り消した。一方、「強制連行の証拠が多い」とし、「従軍慰安婦の強制連行があった」というスタンスに変わりはないという。

この朝日新聞の記事に対し、6日付の各紙の反応は大きく2通りに分かれた。

「従軍慰安婦の強制連行」の存在を否定してきた読売新聞と産経新聞は、この問題を1面で大きく掲載。読売は「朝日 32年後の撤回 強制連行証言は『虚偽』」と3段の大きな見出しを立て、産経は「朝日 慰安婦報道『誤り』 一部記事を取り消し」と4段の見出しを立て、朝日を断罪している。

他方、朝日と論調が近い、毎日新聞と東京新聞は、この問題について報じたものの、いずれも朝日の報道に対する評価よりも、自民党の石破茂・幹事長が朝日の関係者を国会招致する可能性に言及したことに対し、「報道の自由を侵害する」と大々的に報じている。

毎日は、一面でトップ記事扱い。担当記者が署名入りで、「報道の内容は、報道機関自身が責任を持つべきだ」「民主主義社会で、報道の自由が保障されなければならないのは言うまでもない」などと主張。東京は、3面の片隅に見落としてしまいそうなぐらいの小さな記事で掲載。そのすぐ下には、「朝日国会招致『あり得る』 報道の自由侵害の恐れ」という見出しとともに、石破氏の顔写真を入れ、「報道内容をめぐり、記者らを証人や参考人に招致するのは、極めて異例」とした上で、「(国会招致は)報道の自由が侵害される」とした。

本誌・本欄でも、再三にわたって指摘してきたように、従軍慰安婦問題は、戦後の作り話であり、「なかった」というのが歴史の真実だ。朝日は、「ある」と主張してきた重要な根拠が崩れていることに気づいているにもかかわらず、いまだに「強制連行があった」と強弁する姿勢は問題だろう。さらに、この問題を熱心に報じた同紙の植村隆記者は、今年3月に退職しており、誰も責任を取っていないことも腑に落ちない。

毎日・東京も、これまで朝日と同じスタンスで報じてきた手前、急に姿勢を変えることができない事情は百歩譲ったとしても、石破氏の発言にフォーカスすることは、問題の本質から逃げていると言わざるを得ない。「報道の自由」の重要性を強調しているが、その自由の中には、「うそを報じる自由」などないことは、報道機関である両紙が一番よく分かっているはずだ。

朝日新聞は、改めて、明確に「従軍慰安婦問題はなかった」と認めるべきだ。また同紙には、南京大虐殺に関する報道についても、多くの疑義が寄せられているが、こちらの検証作業も進める必要があることは言うまでもない。(山本慧)

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