朝日新聞は、5日付朝刊で「従軍慰安婦」についての社説と特集記事を掲載した。

従来、同紙は「日本軍が慰安婦を強制連行した」という趣旨の記事を書き続けてきたが、その内容について事実と異なる点があると批判が高まっているためだ。

社説では、「私たちは元慰安婦の証言や少ない資料をもとに記事を書き続けました。そうして報じた記事の一部に、事実関係の誤りがあったことがわかりました。問題の全体像がわからない段階で起きた誤りですが、裏付け取材が不十分だった点は反省します」と書かれている。

「事実関係の誤り」というのは何か。一つは、同紙が82年から記事にした、「自ら朝鮮人女性を拉致した」という吉田清治氏の証言が虚偽だったこと。もう一つが、90年代始めに記事に掲載した、「朝鮮半島出身の女性が『女子挺身隊』の名で戦場に動員された」という表現の誤りだ。「挺身隊」とは、軍需工場に動員された人々のことで、「慰安婦」とは全く異なる。上の文には、多少言い訳がましさを感じるが、同紙は共に、「取り消します」「誤用しました」としている。

しかし同紙は、これらの誤りを謝罪した上で、"従軍"慰安婦問題を盛んに取り上げてきた立場だけは守るためか、以下のように弁解している。

「日本軍などが慰安婦を直接連行したことを示す日本政府の公文書が見つかっていないことを根拠に、『強制連行はなかった』として、国の責任が全くなかったかのような主張を一部の政治家や識者が繰り返してきた。(中略)だが、問題の本質は、軍の関与がなければ成立しなかった慰安所で女性が自由を奪われ、尊厳が傷つけられたことにある」

慰安婦問題でしばしば論点となっているのが、「軍が強制連行を指示した」のか、「有給の慰安婦募集を行っていた業者が、強制的に女性を拉致するという不法を働いた」のかということだ。上の「弁解文」を見る限り、朝日新聞はその違いの重要さをまったく理解していない。

当時、戦場の将校の相手をする女性を、有給で募集していた業者があった。その中には、悪質な業者もあり「軍とつながりがある」と嘘をついて女性を集めた例や、女性を騙したり、誘拐したりして売り飛ばす、「強制性」のあるケースもあったようだ。しかし、当局はこうした業者を取り締まる通達を出している。

それにも関わらず、日本が「国家ぐるみで慰安婦を強制連行した」という認識が、国内外で広がればどうなるか。これにより、日本が「組織的にユダヤ人を迫害したナチス」と同列視され、周辺国による日本への攻撃が正当化され、日本人も「戦前の日本は全てが狂っていた」と考えることにつながっていく。実際は、一部業者の犯罪であったにも関わらずだ。

確かに、悪徳業者などの被害にあった方々にとっては、相手が誰であれ悲劇であることに変わりがない。だからといって「日本軍の方針であったかどうか」を曖昧にしたままこの問題が議論され、中韓に政治利用されてよいわけはない。

朝日新聞の報道が批判されてきたのは、そうした誤解を広げることに多かれ少なかれ加担してきたことが大きい。その「国益への害」をこそ反省しなければならない。(光)

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