7月20日付の新聞各紙から拾い読みしてコメントする。

100自治体調査 待機児童1年で1割減 (日本経済新聞)

保護者が保育所に申し込んだものの、保育所の定員に空きがなくて入れない「待機児童」が4年連続で減少。日本経済新聞が、待機児童の多い100市区町を対象に調査したところ、前年に比べて約1割減少していた。減らした市区町は、認可保育所の整備、認可外保育所の活用、保育相談などに取り組んでいる。

⇒減少傾向にあるのは自治体の努力もあろうが、潜在的な待機児童は100万人近くという試算もある。自由主義経済下において「待機児童」があふれているのがそもそもおかしい。認可保育所には株式会社が参入できることになっているが、認可基準が厳し過ぎたり補助金の使い道が決まっていたりして採算が合わず、事実上の参入規制が行われている。規制は子供の命にかかわる必要最低限のものにすべきで、税金投入以外にも工夫の余地はある。

中部電、政界へ裏金2.5億円 取引先から工面(朝日新聞)

中部電力の元役員が、取引先の建設会社などに工面させた資金を長年、簿外で管理して政界対策に充ててきたと朝日新聞に証言。1985年から2004年までの約20年間に、約2.5億円を政界対策のために受け取ったという。政界対策資金が、利用者が払う電気料金で賄われた可能性がある。

⇒元役員の証言が本当ならば、税法等に違反する行為であり、許されることではない。だが、批判を承知で述べれば、なぜ電力会社が「政界対策」をしなければならなかったか、ということだ。CO2削減の観点から原発に注目が当たり始める前は、原発建設への風当たりは強かった。世論の反発を受ける政策を進めることは、政治家にとってもリスクだ。原発反対の世論を煽ったのが朝日新聞をはじめとするマスコミであったことも忘れてはならない。

また、政界対策資金が電気料金で賄われた可能性を指摘するが、現在、原発を止めていることでエネルギーコストが年間約3兆円も増えていたり、発電効率の悪い再生エネルギーを固定価格で買い取る制度を導入したりしていることは批判の対象にならないのか。これらは明確に電気料金に上乗せされ、家計を圧迫している。

イギリスの新国防相が、日本の集団的自衛権を歓迎(産経新聞)

イギリスのキャメロン政権の内閣改造で、15日に就任したばかりのマイケル・ファロン新国防相が、18日に日本の集団的自衛権行使容認の閣議決定を歓迎する声明を発表した。ファロン国防相は「日本が世界平和と安保により責任を持つようになってきた自然な流れだ」と強調した。

⇒集団的自衛権の行使容認を理解してくれる心強い声明であると同時に、世界の秩序維持のために、日本への期待が高まっていることを感じさせる。「平和が脅かされる」として集団的自衛権に反対する人もいるが、世界には平和を望まない「ならず者国家」も存在する。そうした国の横暴を止めるには、集団的自衛権を行使し、自由主義や民主主義を尊重する国どうしで協力しあう必要がある。

若者の正社員化推進法案の来年国会提出を目指す(読売新聞)

田村厚生道労相が、非正規の若者を正社員にすることを企業に促す法案を来年の通常国会に提出する考えを表明。若者の正社員化を進めた企業に対して助成金を出したり、「ブラック企業」対策の一環として、若者の離職率を情報公開することなどが柱となる見通し。

⇒正社員をすれば助成金(税金)を出すというなら、事実上、公務員を増やすことと同じとなる。また、離職率だけで企業の健全性は図れない。一般的に、中小やベンチャー企業は人の入れ替えが激しい。離職率を下げようとして人件費がかさみ、倒産してしまえば失業者が増えるだけだ。「優しすぎる制度」は、かえって人々を苦しめる。

法案の内容はこれから具体化されるので、詳細は待ちたいが、自由な企業活動を妨げないよう望みたい。(佳)

【関連記事】

2013年5月21日付本欄 横浜市の待機児童ゼロ達成に学べ 企業の参入で女性パワーも増大する

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6055

2012年9月5日付本欄 「原発ゼロ」で家庭の光熱費が今の2倍に

http://the-liberty.com/article.php?item_id=4827

2014年7月12日付本欄 集団的自衛権の行使容認で日本が孤立? 孤立しているのは中韓

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8124

2013年10月5日付本欄 雇用規制の緩和で、働き方の選択肢を増やせ

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6741

2013年9月24日付本欄 【そもそも解説】派遣のルールを緩めることは、働く人に不利? それとも有利?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6691