小野寺五典防衛相は、6日、アメリカのヘーゲル国防長官と会談した。ヘーゲル氏は北朝鮮に対する抑止力を高めるために、2017年までにイージス艦2隻を日本に追加配備する計画を明らかにするとともに、集団的自衛権の行使容認に向けての日本の動きを歓迎した。7日各紙が報じた。

「世界の警察」をやめようとしているアメリカにとっても、最近の北朝鮮の動きは看過できないものがあろう。日米韓首脳会談の最中に、中距離弾道ミサイル「ノドン」を2発発射。国連安全保障理事会がこれを非難する談話を発表すると、北朝鮮は強い反発を示し、「新たな形態の核実験を強行する」などと述べた。

こうした北朝鮮の恫喝行為からは、相当追い込まれている状況が見て取れる。昨年12月、金正恩第一書記の叔父であり、ナンバー2だった張成沢・前国防委員会副委員長が粛清された。中国と太いパイプを築き、国内の経済改革を推し進めた張氏が殺されたことで、北朝鮮の経済状況はいっそう悪化していると見られる。

7日付産経新聞には、張成沢氏とつながりのある幹部ら約1200人を処罰するため、政治犯収容所を拡張する北朝鮮の動きが報じられている。左遷されたり、身の危険を感じて行方をくらませたりした幹部も多く、公的ポストに空きが生じ、賄賂で役職を買う「売官」も横行し始めたという。

北朝鮮による拉致被害者である横田めぐみさんの娘、キム・ウンギョンさんと横田夫妻との面会も、日本の経済制裁解除や経済援助を引き出したいという狙いが垣間見える。

経済的に逼迫した北朝鮮が暴発して韓国に侵攻する可能性もあり、朝鮮半島情勢は予断を許さない。実際、3月31日には、北朝鮮が、黄海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)の近くで海上砲撃訓練を実施し、発射した約500発のうち約100発が韓国側海域に落下した。これに韓国軍が対抗して、約300発を応射するという事件が起こっている。

かといって、経済援助をして北朝鮮が態度を軟化させたことはないため、北朝鮮の軍事的冒険をやめさせるための体制を築くしかない。

アメリカが軍事予算を減らそうとしている今、日本もアジア諸国と連携し、自国とアジアの平和を守る役割を果たさねばならない。集団的自衛権行使の議論も、公明党に配慮して「日本の安全保障に直接関係ある場合に限り、他国の領土・領海・領空での行使は原則として認めず、自衛隊の行動は日本の領域や公海に限る」とする、「限定容認論」という考え方が出てきているが、これでは不十分だ。今のままでは、朝鮮半島有事の際も、米軍を後方支援することが精一杯で、韓国にいる日本人や他国民を救出しにいくことすらできない。

北朝鮮をこれ以上のさばらせないためにも、日本は「アメリカがいなくてもアジアの安定が維持できるか」を考えた体制を敷く時が来ている。(佳)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『北朝鮮の未来透視に挑戦する エドガー・ケイシー リーディング』 大川隆法著

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