集団的自衛権の行使容認をめぐって、議論が本格化してきている。政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が4月にまとめる報告書の内容を固めつつあるほか、公明党の山口那津男代表は22日、松山市内の講演会で集団的自衛権について触れ、改めて慎重な姿勢を示した。

こうした中、公明党は先週、集団的自衛権に関する党内の勉強会を初めて開催した。同党は、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認は認めないという立場を取っており、党内の足並みを揃えることを目的としているようだ。

公明党は、中国や北朝鮮をはじめとする日本周辺の安全保障環境が緊迫化する状況を認識しつつも、個別的自衛権の拡大や警察権の範囲内で対応できると主張してきた。先週の勉強会でも、北側一雄・党副代表は、「これまで長年積み重ねられた政府解釈について、もう一度よく理解をしていく必要がある」と、行使容認を進めようとしている安倍内閣の方針に釘を刺している。

だが、一方では党内でほころびも出始めている。公明党は行使容認に賛成と受け止められないように、これまで党内での議論を避け、各議員に独学を促すレベルにとどめてきた。党は憲法解釈による行使容認に反対という見解に沿う阪田雅裕元法制局長官の書籍を読むように薦めてきたが、実際は分かりやすさから石破茂・自民党幹事長の入門書を読む新人議員が続出しているという。

石破氏は行使容認に積極的なため、議員が行使容認に立場を変えてしまう可能性もあると、公明党幹部は危惧しているようだ。実際に、公明党の若手議員7人は石破氏と18日に懇談しており、集団的自衛権の行使容認について、「国民の理解を得るために十分な議論を尽くす必要がある」との認識で一致している。

第二次安倍政権の発足以降、集団的自衛権の行使容認に関する議論が何度か出たが、その都度、自公連立政権の「ブレーキ役」を自負している公明党は容認反対の立場で足を引っ張ってきた。

しかし、東アジアの安全保障情勢が緊迫化する中、「平和」を掲げるだけでは日本の安全を守ることはできない。軍事的な拡張を続ける中国・北朝鮮から日本を守るためには、集団的自衛権の行使容認は必然の選択と言えるだろう。自民党はこれまで連立与党である公明党に配慮し続けてきたが、そろそろ、与党内での「ねじれ」を解消し、日本を守ることのできる体制の構築を望みたい。(飯)

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