自民党の石破茂・幹事長がテレビの討論番組で、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更をめぐって、慎重な姿勢を示す公明党に配慮。今通常国会中に結論を出すか否かについて明言しなかった。昨夏の参院選で、衆参の「ねじれ」を解消すると訴えて大勝した「自公連立政権」だが、自公の中にこそ解消すべき「ねじれ」が存在する事実が、浮き彫りになっている。

石破氏は26日、与野党の幹事長や書記局長らとともに、NHKの日曜討論に出演。集団的自衛権の行使について議論が及んだ際、こう話した。「なぜ集団的自衛権の行使を容認するのか、1つ1つ丁寧に説明しなければならず、まず与党の中で公明党とよく話をして、一致点を見いだす努力をやってかなければならない。それを抜きに『いつまでに』と言うことは避けたい」。

今国会中に結論を出すことを避けたとも受け取れる発言だ。しかし、お隣の中国・北朝鮮が軍事的な拡張を進めていることを考えれば、自公政権が国防の課題を先延ばしすることは、国民の生命・財産を危険にさらすことになる。のん気に、「一致点を見いだす努力」など言っているが、そのような時間は残されていないはずだ。

昨夏の参院選で、自公両党は、「衆参のねじれを解消する」と訴えて民意を味方につけ、民主党に大勝した。しかし、本欄や本誌でも当時から指摘してきたが、そもそも両党は、憲法9条や集団的自衛権という国民の生命を左右する重要なテーマで「ねじれ」ており、国を危うくする。

象徴的なのは、先般行われた沖縄県名護市長選での「ねじれ」だ。自民党は、辺野古移設賛成派の候補者に推薦を出し、石破氏が沖縄入りして応援演説するなど、全面的に支援した。だが公明党は、同党沖縄県本部が県外移設の姿勢を崩さずに、自主投票で臨むことを決め、同党本部もこれを黙認した。そのため、公明票が移設反対派の現職・稲嶺進氏に流れ、再選に大きく貢献したと言われている。

公明党の井上義久・幹事長は同番組で、集団的自衛権の行使容認について、「丁寧に議論して国民的合意を作り、国際社会に理解を求めなければならない」と話しているが、日本を取り巻く国際環境を冷静に見れば、結論は1つであり、それを政権与党が進めずに誰が進めるというのか。ちなみに、こうした問題で、「国際社会の理解」などと言っていては、永遠に国防強化を進めることはできないだろう。

今後とも、自公連立の「ねじれ」の危うさが、国防問題を通してあぶり出てくるだろう。しかし、自公政権は「どの党の言っていることが正しいのか」ではなく、「何が正しいのか」という視点で国を率いるべきだ。決して、党利党略で日本の政治の舵取りを誤ってはいけない。(格)

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