集団的自衛権の行使を容認することを目指している安倍政権だが、慎重な姿勢を示す公明党に配慮して、来年1月になると見られていた行使容認の関連法案の提出が困難になる可能性が出てきた。6日付産経新聞が報じた。

記事によると、行使容認のために議論を重ねている、有識者会議「安全保障の法的基礎の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が、年内の開催時に予定していた報告書の提出を、来年に先送りする模様。行使容認に慎重な公明党に配慮した。

この影響で、集団的自衛権の行使を可能にするための関連法案は、来年1月に召集される通常国会への提出が困難になる可能性があるという。

率直に言えば、「やはり、そうか」という思いだ。

今夏の参院選で、本誌や本欄では、安倍・自民党と公明党は、集団的自衛権や憲法改正の問題で意見が真逆であり、自民党が民主党に勝っても、与党内の「ねじれ」が存在するため、結局、安倍晋三首相は大事なところで国民を守る決断ができない、と指摘してきた。今回の記事は、それを証明する形だ。

さらに、現在の日本の最大の脅威は、当然、中国の軍拡だが、公明党は、その中国との架け橋となって国交を回復させたことを手柄として、長年、内外に誇示してきた。つまり、日本という国家の存亡がかかっている安全保障や対中国へのスタンスにおいて、安倍政権は常に、公明党に配慮し続けなければいけない。

また、民主党政権があまりにひどかったためか、マスコミが報じる安倍首相の安全保障政策は、国民の目には、一見、心強く映るかもしれない。だがある専門家は、「財務省に「金がない」と言われれば、結局、国防強化もかけ声で終わってしまう可能性が高い」と指摘する。

安倍首相は、2020年のオリンピックを東京に招致することを成功させ、順風満帆の政権運営を進めているようにも見えるが、重大な決断を迫られる場面で判断を誤り、20年のオリンピックが「中国・東京省」開催などにならないよう、集団的自衛権の行使容認、憲法改正の信念を貫いてほしい。(格)

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2013年9月25日付本欄 集団的自衛権の行使容認にブレーキをかける公明党

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2013年7月11日付本欄 「参院選」自公こそ「ねじれ」ている 「ねじれ」解消を目指す安倍首相

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