北朝鮮のナンバーツーだった張成沢・元国防副委員長が今月初めに処刑された背景に、日本をはじめとする国際社会による経済制裁があったという、東京基督教大学の西岡力教授の論考を20日付産経新聞が掲載した。

同記事は、張氏が軍の利権を取り上げたために恨みを買ったのだと指摘する。

北朝鮮は、核やミサイルの材料などの輸入で膨らむ貿易赤字を穴埋めするために外貨を必要としているが、度重なる挑発外交で経済制裁を受けているため、軍の持つ外貨稼ぎ事業くらいしか外貨を手に入れる手段がなかった。その事業を張氏が内閣に移管させたことが軍の恨みを買い、軍内部の強硬派の圧力によって金正恩・第一書記が張氏の処刑命令を出したのだという。

経済制裁の効果が見られたことから、経済制裁の解除と引き換えに拉致問題の解決を迫れるとする一方で、今後、北朝鮮が暴発して韓国に侵攻する可能性についても指摘している。アメリカのある大手シンクタンクはおよそ2カ月前、金正恩政権の崩壊がすぐにも起きうることを前提に準備すべき段階に来ていると提言している。

第二次朝鮮戦争が起きた場合、日本はどのように対応するつもりだろうか。

大川隆法・幸福の科学総裁が今年2月、「眠れる予言者」エドガー・ケイシー霊を招霊して朝鮮半島について未来予知を行ったところ、ケイシー霊は、38度線で通常兵器による戦闘が始まっているのが見えると語り始めた。

「国境線の周りが燃えているような状態に見えています」「アメリカや日本の判断は、『まず、自分たちの国民を逃がす』という方向に働き、『逃がしつつ、戦闘準備に入る』というかたちになると思われます」「(日本は)『戦闘行為はよくない』というような非難声明は出すものの、主体的に何かができることはない感じがします」

北朝鮮に起きた今回の混乱を拉致解決の好機と捉えるのもいいが、朝鮮半島に高まるリスクを前に、日本はアジアの秩序に対してどう貢献していくつもりなのかを練っておく必要がある。

米軍基地のある日本は朝鮮半島有事の際に、国連軍として動く米軍の後方支援基地になるだろう。また在韓邦人の救出や難民の受け入れなど、平時から対応を考えておかなければ迅速な意思決定はできないことは多くある。

半島有事のリスクが明確に見えてきている今こそ、起こりうる事態を想定して備えるべきだ。(居)

【関連記事】

2013年12月4日付本欄 北朝鮮の"ブレーキ役"張成沢氏の失脚で、朝鮮半島の緊張が高まる

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7033

2013年5月号記事 迫りくる 第二次朝鮮戦争 - 「戦わないアメリカ」に日本は備えよ

http://the-liberty.com/article.php?item_id=5790