北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの両親が、めぐみさんの娘であるキム・ウンギョンさんとモンゴルで初めて面会を果たした。横田さんの両親は、16日に出した文書のなかで、「対面は、本当に奇跡的なことで、大きな喜びですが、一つのことをきっかけに、全被害者救出のためになることを望んでいます」などとコメントした。

今回の面会は、3日に中国で行われた非公式の日朝政府間交渉で、北朝鮮が面会に合意したことで実現した。一見、北朝鮮が態度を軟化させているように見えるが、そこには「悪化する国際関係を改善したい」という思惑が見え隠れする。

これまで中国と北朝鮮の関係は、友好であったと思われていたが、最近では、その関係にもほころびが生じている。中国の軍内部でこのほど、「北朝鮮の政治体制を改革しなければならない」という報告書が提出された(15日付朝鮮日報電子版)ほか、北朝鮮国内では、中国との関係が深く、北朝鮮のナンバー2であった張成沢氏が昨年12月に処刑されたことにも表れている。

さらに、中国だけではなく、国連からも圧力がかけられ始めた。人権弾圧を繰り返す歴代の金政権は「人道に対する罪」を犯し、国際刑事裁判所に付託されるべきだという国連の報告書が2月に公表された。

同報告書は、北朝鮮が国民を飢餓状態に置くことで、権力基盤を維持しているという“生々しい内情"をまとめたもので、金正恩第1書記は訴追されるべきだと厳しく批判。また、脱北者を強制送還する中国に対しても、その行為は難民保護を謳う国際難民条約に違反するという趣旨を盛り込むなど、中国にも是正を促した画期的なものだ。北朝鮮の惨状は、今や国際社会の知るところになり、厳しい目が向けられている。

一方、韓国政府は2月に、北朝鮮の鉄道補修費用として13億円を拠出することを決めるなど、北朝鮮に対し宥和的な行動を取っている。また、今回の面会について朝鮮日報は「安倍首相が拉致問題に執着するのは、戦争を引き起こした『加害国・日本』から『国民が拉致される被害国・日本』へと国のイメージを変えるためという見方がある」と報じるなど、相も変わらず歴史問題にこじつけて批判している。

日本は、北朝鮮の独裁体制の崩壊と拉致問題の解決を果たすまで、北朝鮮に制裁を加えるという意志を貫くべきだ。同じく拉致被害者を抱える韓国は、日本との歴史問題を持ち出して、日韓の連携を妨げてはならない。北朝鮮に対しては、日米韓を含めた国際社会の北朝鮮包囲網の構築が不可欠である。(慧)

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