任期満了に伴う名護市長選挙が19日に投開票され、現職の稲嶺進氏(68歳)が2期目の当選を果たした。前県議で新人の末松文信氏(65歳)との一騎打ちを制した。

名護市には、米軍普天間基地の移設先である辺野古が属しているため、今回の市長選は「基地移設の民意を問うもの」だとされて注目を集めていた。

当選した稲嶺氏は、最大の争点とされた米軍基地の辺野古移設に「断固反対」の姿勢だった。一方、敗れた末松氏は、基地移設は日米両政府ですでに合意されているものであり、これを推進する考えを示していた。

この件については、昨年末、仲井真弘多知事が移設工事を承認したことによって決着したはずだった。しかし、稲嶺氏は、工事に際して漁港周辺に資材を置くことを認めないことによって、市長権限でも移設を阻止できると主張している。

今回の選挙結果を受けて、再び移設問題が迷走するのではないかと危惧する声もあるが、たかが地方行政における市のトップが政府間合意に横やりを入れる資格はない。

実際、菅義偉官房長官は14日、「仲井真弘多知事が辺野古埋め立ての判断を下した。そこは決定している」と述べ、小野寺五典防衛相も、「沖縄県として認めていただいた埋め立て申請の了承に基づき、今後とも工事を含めて進めていきたい」としており、政府は市長選の結果に関わらず、移設を進める姿勢を示している。

普天間基地の移設問題は1996年に浮上して以来、今年でもう18年目を迎える。日米両政府間で合意してからも、沖縄県知事がこれを覆そうとしてきた。しかし、沖縄は国防の要衝の地であり、ここの米軍基地があることは、日本はおろか周辺国の防衛も保障する意味がある。

太平洋を支配しようとする中国の覇権主義が鮮明になっている今、アジア諸国の平和と安全を守るという大局観さえ持てない地方行政の長に、国防について一体、何の判断を仰ぐ必要があるだろうか。

地方に国が振り回される情けない政治は終わりにすべきだ。政府間で合意した内容の是非を争点にする地方選挙など存在しなくてよい。政府はこれ以上、同盟国の信用を失わないよう、国際ルールに従って基地移設を速やかに実現することが望まれる。(雅)

【関連サイト】

【速報・名護市長選】これで「辺野古移設反対」が決定したわけではない【ザ・ファクト FAST BREAK#06】

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