12日の内閣府の発表によると、4~6月期の国内総生産(GDP)成長率は年率換算で実質2.6%だった。前回1~3月期の3.8%に比べ鈍化し、大方のエコノミストたちが示した3%という予想を下回った。アベノミクス効果で個人消費と輸出が伸びたが、足を引っ張ったのが民間企業の設備投資で、前回に引き続きマイナスだった。

政府はかねてから、この時期までの経済指標に基づいて来年からの消費税増税を行うかを判断するとしていた。増税の是非をめぐっては政府内でも議論が分かれているが、ここにきて増税の悪影響への懸念が高まっている。

今まで増税賛成だった読売新聞は、13日付社説で「消費増税によって景気が腰折れし、デフレ脱却のチャンスを逃しては元も子もない」と従来の主張を修正している。1997年の消費増税の失敗も例に出し、「消費税の税収は増えたが、景気低迷で所得税や法人税が減り、肝心の財政再建も遠のいた」と指摘した。

1996年度の実質GDP成長率は2.7%だったが、橋本龍太郎政権は「増税に耐えられる」と判断し、翌97年4月に消費税率を3%から5%に引き上げた。アジア通貨危機や金融不安と合わせた景気の減速で、1997年の実質GDP成長率は0.1パーセントにまで落ち込み、日本は長期デフレに突入した。

増税のリスクは明らかだが、財務省の宣伝もあって「増税しても経済成長に支障はない」という意見が、いまだにはびこっている。日経新聞は13日付社説で「消費税増税は財政再建の重要な一歩だ。景気に与える影響には細心の注意を払うべきだが、増税そのものを回避するのはリスクが大きいといわざるを得ない」と述べ、消費税率引き上げを促している。

このまま消費税引き上げを急げば、再びの長期不況突入は避けられない。1997年の教訓を素直に生かし、消費税増税は中止すべきである。 (光)

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