甘利明経済財政担当相は30日に「よほど外的に大きなショックでもない限り、(消費税を)全く上げないという選択肢はない」と述べ、増税の延期・凍結を否定した。一方、菅義偉官房長官は31日午後の記者会見で「税収増など様々なことが起きる可能性がある」と補足した。景気回復により大きな増収が見られた場合、増税の見直しの可能性があることを示唆した形だ。

消費税引き上げは「消費税分の税収増」と「景気悪化によるトータルでの税収減」の二つの側面を持つ。1997年に橋本政権が財政再建を目的として消費税率を引き上げた時は、翌年1998年から日本は長い不況に突入し、税収は大きく落ち込んだ。

菅官房長官が28日のテレビ番組で「橋本龍太郎政権のとき、当初消費税を上げたときは一番税収があったが、あとは全部下がった。このとき、対策はほとんどされていなかった。反省の上に立って勉強している。何か対策があればそうならなかったのかも検証している」とコメントしているように、この増税は、景気回復の足を引っ張って、結果的に税収を減らす可能性が高い。

消費税率の2段階引き上げが日本経済に与える影響について黒田東彦日銀総裁は30日、試算を示した。試算によれば、増税前の駆け込み需要の反動減や消費抑制が、平成26年度の成長率を0.7ポイント押し下げるという。黒田総裁は増税容認派であり、「消費税増税で日本経済の成長が大きく損なわれることにはならない」とも発言している。したがって、この0.7ポイントはかなり小さく見積もった下げ幅であり、実際はそれ以上のダメージがあると考えるべきだ。

アベノミクスの効果もあり、法人税をはじめとする税収増は少しずつ確認されている。本誌でもたびたび指摘してきたように、増税の見直しを検討し、財政再建への道は景気回復と経済成長からの増収という方向に求めるべきだ。(光)

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