参院選での自民党の圧勝を受けて、安倍晋三首相は22日に自民党本部で記者会見。「国民が最も求めているのは全国津々浦々まで実感できる強い経済を取り戻すこと。経済は国力の源泉です」と述べ、当面は経済政策を最優先課題として取り組む姿勢を示した。

経済政策で焦点となるのは、来年4月から8%にする消費税率引き上げだ。政府は経済成長率などの指標に基づいて、増税の是非を10月にも判断する予定だ。安倍首相は「経済成長と財政健全化の両立」を掲げ、麻生太郎財務相も増税に前向きだが、増税すれば景気は確実に冷え込み、ここまでの景気回復の効果が吹き飛びかねない。

そこで出ているのが、景気対策の案だ。23日付の産経新聞によれば、政府は増税が景気に及ぼす影響を和らげるために、秋に補正予算を組んで景気対策を行うことを検討しているという。

だが景気への影響を懸念するなら、そもそも増税しなければいいだけの話である。企業収益の改善によって法人税収の伸びが予想を上回ったことで、2012年度の一般会計決算には約1.3兆円の余剰金が生じている。景気が回復すれば、増税しなくても税収は上がることが確認されたのだ。

しかも、景気対策の財源にその約1.3兆円の余剰金を用いるというのも気にかかる。「財政再建のために増税を」と主張していながら、景気対策でお金をばらまくのでは、何が目的なのか分からない。このままではアベノミクスは、「増税とバラマキのために、景気を膨らませた」と後世の歴史家に書かれてもおかしくない。

本当に「経済成長と財政健全化の両立」を実現したいのなら、民間経済を自由にする規制緩和や減税に取り組み、さらなる景気の拡大を図るべきである。安倍政権は、金融緩和や財政出動といった政府主導の政策には成功しているが、民間の活力を刺激する成長戦略は充実していない。もし仮に安倍首相が、「政府が景気を管理すべき」と無意識に思っているのだとしたら、考えを改めない限り「成長戦略」は成功しないだろう。

民間経済が自由闊達に動いてこそ、政府の税収も上がる。国民の「豊かになる自由」を守ることこそ、政府の仕事である。

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