中国共産党の党旗。

《本記事のポイント》

  • 中国共産党の党大会で、若い世代が幹部に登用されなかったと見られる。
  • 習近平氏には、引退する気がない。
  • 習近平氏は、世界覇権に向けて動き出す。

5年に1度開かれる中国共産党の第19回党大会が24日、閉幕した。

党の憲法にあたる党規約の行動指針には、習近平総書記の政治理念が「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」として、習氏の名前を冠した形で盛り込まれることが決まった。名前付きで行動指針に入ったのは、毛沢東氏、トウ小平氏に続く3人目で、権威がさらに強まったといえる。

また最高指導部の政治局常務委員7人のうち、習氏と李克強首相を除く、王岐山氏ら5人の退任も決まった。政治局員と最高指導部の政治局常務委員が正式に選ばれるのは、25日の中央委員会第1回総会においてだ。

中国共産党は、党員(8260万人)、中央委員(205人)、政治局員(25人)、常務委員(7人)、総書記(1人)からなるピラミッド構造をとっている。7人の常務委員は政治局員の中から選ばれ、中国共産党のほぼ頂点に位置し、その権力の大きさから「チャイナ・セブン」と呼ばれる。任期は、次の党大会までの5年間だ。

ポスト習を置かず、引退する気は全くない

今回の党大会での最大の焦点の1つは、習氏の後継者が常務委員に選出されるかどうかだった。24日付産経新聞や日本経済新聞は、「ポスト習」といわれる50代の政治家は、最高指導部に入らなかったと報じている。つまり習氏は、自らが3期目も続投するため、後継者を最高指導部に置かないという異例の決断を行ったようなのだ。

習氏は、党大会の開幕日の演説で、自身が82歳になる2035年までの国家目標も示したため、「習氏には、近いうちに引退する意向が全くない」との声も強まっている。

一方、24日付産経新聞は、習氏は腹心の陳敏爾重慶市党委書記を後継者候補として中央委員から常務委員に昇格できなかったと指摘し、「5年後の権力移譲に向け波乱含みの展開となりそうだ」とした。ただ、陳氏が政治局員に昇格するのは確実であり、胡春華広東省党委書記とともに「ポスト習」候補だとも指摘した。

欧米との対決姿勢も鮮明

また24日付朝日新聞は、習氏が総書記に就任して以来の発言をまとめた本を党中央が出版したと報じた。内容は、欧米への敵意をむき出しにするものが多いという。

記事によると、例えばこんな発言だ。「敵対勢力の『普遍的価値』は見せかけだけのごまかしだ。我々の陣地、人心、民衆を奪おうとしている」「国際世論では依然西側が強く中国は弱い。だが、この構造が変えられないわけではない」

欧米との対決姿勢は明らかであり、今後も国内外での言論弾圧を続けつつ、共産主義に基づいた統治を行っていく意志がうかがえる。

日本が中国の支配下に置かれる危機に

常務委員に「ポスト習」を置かず、長く国のトップに君臨し続けるつもりの習氏は、欧米と対決し、欧米に代わって世界覇権の座を目指している。党大会を終えた習氏は「世界帝国への野望」の実現に向け、一層邁進することは明らかだ。

これだけ長期的な戦略を持って世界帝国を目指す全体主義国家が近くにあるのに、日本にはその危機感はほとんどなく、「日本は永遠に平和」という幻想の中にある。北朝鮮よりはるかに大きな国防上の危機が迫っていることに、気づかなくてはならない。

(山本泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『国家繁栄の条件』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1931

【関連記事】

2017年10月21日付本欄 アジアの脅威は、北朝鮮の次の中国が「真打ち」 背後には独裁政治の「秦の始皇帝」が!?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=13684