タイ王国のラーマ9世プミポン国王(88)が逝去し、タイは、プミポン国王を敬愛する国民の悲しみや祈りで満ちている。

タイ政府は、平常通りの経済活動を呼びかけているが、イベントやお祭りは自粛ムード。テロを警戒した動きもあり、日系企業など外資系企業はタイの動向を静観している。

プミポン国王の逝去は、今後タイに、そしてアジアにどう影響するのか。タイの事情に詳しい幸福の科学タイ支部長の富川浩行氏の寄稿を、2回にわたって紹介する。今回は、その前編。

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現在、タイは政治対立の原因ともなってきた最大の課題、「王位継承問題」に直面している。それは、欧米諸国や日本の最大関心事でもあり、今後のアジア情勢をも左右する問題だ。

タイ式民主主義の行方

約80年前の1932年、タイではクーデターによって「立憲革命」が起き、絶対君主制から立憲君主制に移行した。その後もクーデターが頻発する中、カリスマ的存在として調停役を担っていたのが、プミポン国王だ。