報道ステーション(以下、報ステ)の古舘伊知郎キャスターは先月31日をもって、同番組を降板した。

番組の最後に、古舘氏は「人間は少なからず偏っている。情熱を持って番組を作れば多少は番組は偏るんです」などと、12年間司会を務めた同番組を振り返った。

偏りすぎている報ステ

ただ、報ステの偏り方は許容できるレベルではなかった。

原発や特定秘密保護法など、国民の生命や財産に大きく影響する問題についても、特定の立場に立って報じてきた。

特に最近その報道姿勢が顕著に表れたのが、安全保障関連法案をめぐる議論だ。

昨年9月16日の放送では、古舘氏は「平和安全法制というネーミングが正しいのか、甚だ疑問だ」などと述べながら、国会から中継した(2015年9月18日産経新聞)。美容外科・高須クリニックの高須克弥院長は、報ステの安保法案に関する偏った報道姿勢を問題視し、同番組のスポンサー契約を打ち切ったほどだ。

テレビは「政治的に公平」でなければいけない

テレビは不特定多数に情報を提供する点で、新聞や雑誌より公平性をより強く求められている。

新聞や雑誌などの紙媒体では、それぞれの立場に基づいた言論を発信できる。市場に参入するのも、紙媒体を買うのも読者の自由だ。しかし、テレビは誰でも参入できる業界ではなく、放送するには免許が必要だ。

そのため、放送法第4条では、「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と定められている。この点、報ステに放送違反ではないか、という批判が出るのは当然だろう。

「国民の不満のガス抜きをしている」

2013年、各党が参院選への準備を進める中、大川隆法・幸福の科学総裁は古舘氏の守護霊を招霊し、霊言の収録を行った。その中で、マスコミの役割について、古舘氏の守護霊は次のように語った。

「結局ねえ、国民は政治に不満があるわけよ。財界の権力を持っている人たちに不満があるわけよ。その不満を代弁してほしいのよ。そのために、突き刺してほしいわけ。私たちがそういうガス抜きをしている」

マスコミの使命は反権力という主張だ。これについて、大川総裁は著書『新・日本国憲法試案』で次のように指摘する。

「以前、マスコミは『第四権力』と言われていましたが、今は、もう、現実には『第一権力』になってきているので、『その権力を濫用してはならない』ということが大切です」「マスコミの方にも、神の子、仏の子としての良心を持っていただきたいと思っています」

マスコミは報道一つで政治家を辞職させたりできるが、責任は問われない。政治の腐敗を暴くのは確かに重要な仕事だが、国民に真実を伝え、国を良い方向に動かすことが本来のマスコミの使命だ。マスコミに健全なジャーナリズムを求めるとともに、国民側も正しさを求め続ける気持ちを忘れないようにしたい。

(冨野勝寛)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『バーチャル本音対決 TV朝日・古舘伊知郎守護霊 vs. 幸福実現党 党首・矢内筆勝』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=962

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