映画ファンの皆様、残暑お見舞い申し上げます。
一年のこの時期は、81年前に終わったあの戦争に思いを馳せたくなります。当時を体験した方が少なくなった今、文献と並んで歴史の一端を教えてくれるのが映画です。今回は筆者の心に残っている『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』(1968年)をご紹介します。
回天とは戦争後期に開発・使用された、人間が乗り込んで敵艦を攻撃する魚雷で、戦闘機の特攻隊同様、乗員は助かりません。本作はオールスター出演の大作で、戦争映画なので観ていてつらい部分もありますが、戦争を背景とした人間ドラマの側面もあり、当時の日本人の精神のあり方を知るうえで勉強になると思います。
(あらすじ)
昭和18年、帝国海軍の大里中尉(鶴田浩二)は敗色濃い戦局を打開するため、三島少尉(松方弘樹)の協力を得て必死必殺の人間魚雷「回天」の兵器化に漕ぎつけるが、搭乗訓練中に死を遂げる。19年10月、山口県大津島の基地で回天特別攻撃隊菊水隊が編成され、西太平洋の敵艦隊が目標に選ばれた。出撃数日前、隊員に帰省休暇が与えられ、三島は大阪の両親を訪れ、潮田(伊丹十三)は妻に無言の別れを告げ、家が遠い17歳の芦沢(桜木健一)は料亭の仲居に母親のように甘える。やがて彼らは回天を搭載した潜水艦に乗り込み、最後の別れを告げて出撃していく。
必死必殺──必ず敵を殺すが自分も必ず死ぬ──の特攻作戦は、平和な時代からすれば狂気の沙汰に思えるかもしれません。しかし宮本雅史著『回天の群像』には元回天隊員のこんな言葉があります。
「あの時代、我々が命を捧げなければ、日本の国民も国土も守れないと思っていました。このままいけばこの国は滅亡せざるを得ない。それを防ぐために自分の命が少しでも役に立つならば、喜んで死ぬべきであるという意識になっていました」
この映画は、当時の日本人のそうした意識をよく描いています。鶴田浩二は海軍航空隊に所属した経験があり、特に鶴田や松方の軍人ぶりは、あの戦争で散った人々の霊が乗り移ったかのようです。現代の映画、現代の俳優にはとうてい出せないであろう迫真の空気感がそこにあります。
決死の緊張感に貫かれた物語のなかで、やわらかい人情がただようのが、隊員たちが愛する女性と過ごすシーンです。なかでもリバティ読者にぜひご覧いただきたいのは幸福の科学信者の女優・小川知子さんの出演場面です。撮影時10代の可憐な小川さんが演ずるのは、回天隊員が親しくなる地元の娘イチ。イチは隊員に、自分の代わりに一緒に搭乗させてほしいと手作りの人形を渡します(実際にしばしばなされていたこと)。彼を乗せた潜水艦が出撃する際、イチはその様子を離れた崖の上から遠く臨み、「竹井さーん!」と名を呼んで泣き崩れます。
これらの場面が感じさせてくれるのは、命を賭した戦いにおいて男性を鼓舞し支えるのは女性の愛であるということです。大川隆法・幸福の科学総裁が基本書『太陽の法』で愛についてつづった章には、こんな一節があります。
「たとえば、今日一日という日が、あなたに残されたすべての時間だとしましょう。そして、夕べには死すべき運命であったとしても、だれかに愛をささやかれたら、すべての人間は、幸福の微笑(えみ)を浮かべて、死へと旅立ってゆくことができるでしょう」
小川知子さんは2015年、大川総裁による守護霊霊言で、過去世がギリシャ神話の勝利の女神「サモトラケのニケ」であることが暗示されました。イチに送られた竹井が、彼女の愛情に包まれて恐怖に打ち克ち、死へと旅立ち、その魂が見事、天上界に還ったのであれば、イチは竹井にとってやはり"勝利の女神"だったのではないでしょうか。
なお、大川総裁の『小説 地獄和尚』のラストにも「人間魚雷」という言葉が出てきます。和尚は自分がホームレスのように住んでいた土管を抱えて東京上空に飛翔し、「昔、人間魚雷とか、神風特攻隊とかがあったが、『土管和尚』の神風特攻は史上初じゃのぉ」と言いながら北朝鮮のICBMに体当たりし、核爆発と共に消えるのです。これに関して大川総裁は、今月末の近刊『地獄和尚 余話』(幸福の科学刊)で次のように述べています。
「最後の、土管にて核ミサイルと戦う姿のなかに、本当は数多くの教え、言いたいことが詰まっていると私は思うので、このへん、『自分ならやれるか?』とちょっと考えてみていただきたいなと思います。『地球を救うということは、こういうことですよ』『自分も死ぬ気でこれをやっている』ということです」
戦時中の特攻は、神仏から与えられたこの世の人生を軽んずる面があり、宗教的には肯定することはできません。されど、地球を救うことに貢献せんとする私たちであるならば、自分も彼らや地獄和尚のように、死ぬ気でやっているかと自問する必要がありそうです。その意味において、回天特攻隊の精神は決して他人事ではないのです。
(田中 司)
『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』
- 【スタッフ】
- 監督:小沢茂弘
- 【キャスト】
- 出演:鶴田浩二 松方弘樹 伊丹十三 池部良 藤純子 小川知子ほか
- 【その他】
- 1968年 | 100分 | 日本
【関連書籍】
いずれも大川隆法著・幸福の科学出版


























