アメリカの顧客がどのように資産隠しをしているかについて、このほどスイスの銀行が暴露した。米司法省が、情報を提供すれば銀行の告発を見送るとしたため、それに応じた形だ。

多くは、限られた行員しか知らない数字やコードネームを使った口座を顧客に提供するもの。また、イギリス領のバージン諸島やパナマなどのタックスヘイブン(租税回避地)にニセの信託や基金を設立し、顧客の口座を隠したケースも多いという。

このような租税回避を助けたスイスの銀行は、国際的な銀行から小さな町の金融機関まで、規模はさまざま。その口座数は総計1万口以上、総額約100億ドル(1兆2100億円)に上るという。これらの銀行は刑事告発を避けるため、米当局に総額3.6億ドル以上の罰金や和解金を支払った(10月23日付ウォール・ストリート・ジャーナル電子版)。

公平なフラット税の導入で税収も増える

富裕層や外資系企業が資産を隠したり、税金の低い国に資産を逃す事例は後を絶たない。確かに脱税は違法行為だ。しかし、「汗水たらして稼げば稼ぐほど、その分多く、国に取られるのはおかしい」と考えるのは人情だろう。

税金を払わない人が悪いという考え方もあるが、集める側もイノベーションが必要だ。本当に公平な税制は、所得の多寡にかかわらず、同じ税率で税金を支払う「フラット税」だろう。

例えば、香港は1947年から15%のフラット税を導入。株式投資などの配当税や土地など資産の売買で得られるキャピタル・ゲインにも課税はなく、関税もかからない自由貿易港だ。そのおかげで香港は、土地も資源も少ないにもかかわらず、超高層ビルが立ち並ぶ繁栄を享受した。

またロシアでも、2003年にプーチン大統領が13%のフラット税を導入。天然資源の値上がりなども相まって、ロシア経済を回復させた。

このように、フラット税により、経済成長が起きて国富も、税収も増えるケースがある。富裕層が公平さを実感できれば、脱税も減るだろう。だがこのフラット税は先進国ではいまだ、実践されていない。それは、国民の間に「税金は、なるべく金持ちから取るべきだ」という思いがあり、民主主義社会では、数の原理でこの壁を打ち破れないためではないか。

日本は先進国の先陣を切って、10%程度のフラット税を導入すべきだ。日本社会に広がる悪平等の根底にある嫉妬心を払拭し、成功者への祝福の心を持って、富裕層を増やしていく必要がある。(泉)

【関連書籍】

幸福実現党刊 『幸福実現党テーマ別政策集 2 「減税」』 大川裕太著

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