富裕層の税逃れを防ぐために、海外居住者の口座情報を年1回やりとりすることを義務付ける、経済協力開発機構(OECD)の新ルールの詳細が30日明らかになった。31日付日本経済新聞が報じた。

海外居住者が持つすべての口座の名義人、住所、残高、利子や配当の受け取り記録などが報告対象。新ルールに参加する国の税務当局間で、海外に住む人の情報を交換し、資産隠しや税逃れに歯止めをかけるのが狙いだ。2015年~16年の導入を目指しているという。

近年、日本では、自国から海外に資産を移す資産フライトが加速している。アメリカでも、多くの富裕層が税金逃れのために、アメリカ国籍を放棄し、バハマやケイマン諸島など、課税が著しく軽減、もしくは免税となる租税回避地に移住するケースが多発し、大きな社会問題となっている。

この背景には相続税、贈与税、累進課税の強化といった富裕層狙いの増税がある。各国は海外に資産を逃がそうとする国民に対して監視を強化するなどして、阻止する動きを見せている。

例えばアメリカでは、海外の金融機関にアメリカ人の口座情報の提供を義務付ける法律を2010年に成立させた。これをきっかけに、多国間で情報交換すべきという機運が国際的に高まったという。(31日付日本経済新聞)

日本においても「国外財産調書制度」が2014年から運用開始された。日本の居住者が毎年12月31日時点で5000万円超の国外財産を保有している場合、国外資産の種類、数量、金額などを記載した「国外財産調書」を所轄の税務署へ申告しなくてはならないというもの。無申告のまま資産の保有が判明した場合、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科せられる。

努力してたくさん稼いだ人から、より多く税金を奪おうとすれば、お金持ちほどより税率の低い海外に逃げようとするのは当然だ。むしろ減税して、富裕層が国内で自由に経済活動できるようにした方が税収は上がるはずだ。

政府は富裕層に懲罰的な税金を課すのではなく、むしろ祝福し、彼らが大いにお金を使ってもらう環境を整えなくてはならない。経済活動の自由こそ、長期的な国家の繁栄につながることを知るべきだ。(冨)

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