九州電力は、鹿児島県の川内(せんだい)原発1号機の原子炉を8月11日に再稼働させた。東日本大震災後に定められた新しい規制基準の下では、初の再開となった。引き続き九州電力は、10月中旬に川内原発2号機を再稼働させ、11月中旬の営業運転開始を目指している。

ただ、再稼働に反対する世論が根強く残っている。反原発を訴える市民団体なども数多く活動しており、それを過剰に報じて煽るマスコミによってつくりだされた「空気」が、全国の原発の再稼働を止めているのが実情だ。

そんな中、2012年末の衆院選で、川内原発を抱える鹿児島3区で、唯一、「原発再稼働」を主張していた幸福実現党鹿児島県本部副代表の松澤力(まつざわ・いさお)氏が今月16日、鹿児島県庁と薩摩川内市役所を訪れ、県知事と市長宛てに、川内原発2号機の再稼働の実現を求める要望書を提出した。

薩摩川内市役所で、原子力安全対策室の担当者に要望書を渡す松澤氏(左)。

原発が止まり、電気代が上がって家計も企業も大打撃

松澤氏は要望書の中で、「日本が原発を推進すべき理由」を次のように挙げている。

  • 1.安価で安定的な電力供給のためには原発が必要……原発停止によって火力発電のコストがかさみ、家計負担は増加、企業のコスト競争力は低下する。

  • 2.再生可能エネルギーでは原子力の代替不可……太陽光や風力は天候に左右されるため、発電量が不安定で、日本の基幹エネルギーにはなり得ない。

  • 3.原子力はエネルギー安全保障の要……中東有事ともなれば、火力発電に必要な資源の輸入が途絶える可能性もあり、エネルギー供給は危うくなる。

  • 4.最先端の原発技術で世界を豊かに……世界のエネルギー需要が高まる中、日本の最先端の発電技術は、世界の原発の安全性を支え、人々の生活水準の向上に努めるべき。

  • 5.中国や北朝鮮から日本を守る……隣国に核保有国を抱える日本としては、原発を稼働させること自体が潜在的な核抑止力として機能する。

松澤氏によると、要望書を受け取った薩摩川内市役所の担当者は「原発再稼働『反対』の要望は多いが、『推進』派は珍しい」という反応を示したという。

松澤氏はこう語る。「資源が非常に少ない日本であるからこそ、エネルギー安全保障の面から原発は必要不可欠だと思います。原発再稼働を進めることで、さらなる原発の安全性や技術の向上を目指していくことが必要です」

脱原発を訴える人の中には太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに希望を持つ人も多いが、自然エネルギーも安全ではない。実際に、茨城県の鬼怒川の氾濫で、太陽光パネルはバラバラに壊れて流された。浸水しても太陽光が当たればパネルは発電するため、感電する危険性があるという。高温になり出火するリスクもあり、アメリカでは死亡事故も起きている。

日本の経済発展を支えるためにも、安全保障の観点からも、安くて安定した電力を提供できる原発が欠かせない。今回の川内原発2号機の再稼働に加え、関西電力の高浜原発3、4号機(福井県高浜町)や、四国電力の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)なども、新しい規制基準をクリアし、安全性が確認されている。いずれも、速やかに再稼働することを望みたい。(真)

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