「中国の夢」は日米の悪夢 - 日米vs.中国「新冷戦」の始まり - 2023年習近平が世界を支配する - 日本がとるべき3つの国家戦略 Part.2

2015.05.30

2015年7月号記事

日米vs.中国「新冷戦」の始まり

2023年習近平が世界を支配する

日本がとるべき3つの国家戦略

日米と中国の「新冷戦」の時代が、静かに幕を開けた。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)には、日米を除く57カ国が創設メンバー入り。アメリカが不参加を呼びかけていたにもかかわらず、イギリスなどのヨーロッパの国々も参加し、アメリカの影響力低下を印象づけた。習近平国家主席率いる中国は、習氏の任期である2023年までに、アメリカに代わる覇権国家となるのか──。

(編集部 大塚紘子、森國英和、中原一隆、居島有希、河本晴恵)


contents


part2

「中国の夢」は日米の悪夢

──中国が進める軍事・経済戦略

中国はどのようにして覇権国家を目指すのか。そもそも解説とインタビューで、中国の戦略とその狙いを見てみよう。

そもそも解説

習近平の「一帯一路」構想って?

ポイント1

ユーラシア大陸に支配網を張り巡らす

リバ犬 習近平が提唱している「一帯一路」って何のこと?

博士 陸と海の両方に、中国が影響を及ぼせる経済網をつくろうという構想だよ。「一帯」は「陸の道」を指していて、中国西部から中央アジア、ヨーロッパまでつなごうとしている。「一路」は「海の道」で、南シナ海からインド洋、アラビア半島沿岸、アフリカの東海岸を結ぼうとしているんだ。

パキスタンのグワダル港では、「一帯」と「一路」をつなげる計画だ。地図では一目瞭然、ユーラシア大陸を包み込んでいる(下図)。

リバ犬 具体的には何をしているの?

博士 道路や鉄道、港、空港を造ったり、電力や通信などのインフラを整備したりしている。でも、現在は中国の自治区になったチベットやウイグルも、最初はインフラ整備などを口実に中国人が入ってきた。だから、中国の軍隊が入るための下準備の可能性も大いにあるんだ。

「一帯一路」構想とAIIB参加国はぴたりと重なる

ポイント2

南シナ海から軍事的支配を強める

リバ犬 最近、南シナ海で中国が岩礁を埋め立てていると聞いたけど、何が起こっているの?

博士 スプラトリー諸島のファイアリクロス礁のことだね。1988年から中国が人工の島を造っていたんだけど、今になって、さらに埋め立てて大きな空港を造ろうとしているんだ。ちなみに、パラセル諸島のウッディ島にはすでに空港ができているよ。

リバ犬 でも、南シナ海って中国のものじゃないんでしょ?

博士 その通り。ベトナムやフィリピンは強く抵抗しているね。ただ、中国が注目しているのは米軍の動きなんだ。それを封じるためにも、南シナ海を「中国の海」にしようとしている(次ページ参照)。南シナ海を臨む海南島には、すでに巨大な海軍基地があって、潜水艦の拠点になっているよ。将来、空母が配備されて、人工島の飛行場が完成すれば、日本のシーレーンでもある南シナ海は中国の支配下になってしまう。

中国は南シナ海を「中国の海」にしたい

次ページからのポイント

「頼れる大国」をPRしながら戦争に備える中国

インタビュー/杉山徹宗氏・川村純彦氏・ブラーマ・チェラニー氏・宮崎正弘氏・ロバート・D・カプラン氏

アジアインフラ投資銀行(AIIB)って何?

続きは2ページ目へ(有料記事)


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