沖縄県竹富町が、地区の教科書採択協議会の選んだものと異なる歴史教科書を使用していた問題で、21日、沖縄県教育委員会は竹富町が採択地区から離脱し、単独で採択することを認めた。

この問題は、2011年の中学校教科書採択時に始まる。石垣市、与那国町、竹富町から成る八重山採択地区協議会は保守系の育鵬社の教科書を選定したが、竹富町が独自に東京書籍の教科書を採択し、寄付で調達してきた。採択地区内で同一の教科書を採択すると決めた教科書無償措置法に違反する状態になっており、文科省は、同協議会が決めた教科書を採択するよう、沖縄県教委を通して竹富町に是正するよう指導していたが、竹富町は応じていなかった。

ところが、今年4月、市町村合併などを念頭に、教科書採択を市町村別にするという改正教科書無償措置法が成立した。その直後、竹富町は沖縄県教委に八重山採択地区から離脱することを要望し、県教委がこれを認めた。文部科学省は、竹富町の教科書独自採択を「違法」であるとして提訴することも検討していたが、改正法の成立により、23日、提訴しない意向を表明した。

沖縄県教委は、竹富町の離脱を認めた理由として、「尖閣に近い石垣市と、台湾に近い与那国町とでは状況が違う」と説明している。しかし、採択地区の規定を改め、市区町村の単独採択を可能にした趣旨は、市区町村合併に対応するためだ。与那国町の崎原用能教育長は八重山毎日新聞の取材に対し、竹富町の離脱承認は「これまでの違法状態を追認することになる。離脱させること自体問題」「地域内で子供の転校や教員の異動もあり、教科書が違うと確実に問題が起こる」と批判している。

石垣市の玉津博克教育長は20日、文科省を訪れ、「八重山地区は文化的にも経済的にも一体。教科書だけ別というのは理解できない」と、竹富町の離脱に反対する意向を示した。同市教育委員会は、今後も対応を協議するという。

これまで竹富町と沖縄県教委は、法律に基づいた文科省の是正指導を「教育への不当介入」として無視してきた。しかし、今までの法律には従わず、新しい法律には従うというのは、ご都合主義であり、法治国家の原則から外れている。

また、この議論には生徒の教育という視点は一切ない。竹富町は石垣市に隣接しており、文化的、状況的に違うという沖縄県教委の説明は納得しがたい。同一教育行政区内で採択する教科書にズレがあれば教育現場に混乱が生じる。教育を受ける側の生徒たちへの利益が抜け落ちた教科書採択の議論は、本末転倒と言えるだろう。(晴)

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