政府の復興構想会議は11日、月末にまとめる第一次提言の骨子(叩き台)を発表した。

これまで報道された内容から特に目新しい論点は盛り込まれておらず、焦点となっていた復興財源も、「国債を発行する場合には、償還財源を確保」と書かれるに留まり、具体的な税目についての記述はなかった。

全体に、「連帯」「分かち合い」「自然との共生」「地域コミュニティ」「支え合い」「人々のつながり」といった耳触りのいい言葉が並ぶが、5月30日付本欄でも指摘したように、やや左翼的な色彩が濃い上、具体性がなく、ぐだぐだの内容となっている。議論に参加している委員の意見を取りまとめることができずに、反対しにくいスローガン的な内容にせざるをえなかったものと思われる。

しかし、上記の言葉の羅列からも分かるように、「国家としてリーダーシップを発揮して復興を推進する」といった力強さに欠けている点が気になる。要するに「被災地のみなさんで連帯し、分かち合い、支え合って復興してください」と言っているだけのように見え、国家としては何もしないようにも受け取れる。

数少ない具体記述は、国債の財源の話と、「鎮魂の森等の整備」ぐらいだ。何にいくら使うのかの議論がないのに、財源の話だけはきっちりと盛り込んでいるのもおかしいし、鎮魂の森にお金を使う前に、護岸工事を急いで高い堤防を整備することの方が優先順位は高いだろう。

連帯や支え合いは国に呼びかけられてするものではないし、鎮魂も宗教の仕事だ。復興構想会議は国家として果たすべき仕事を構想していただきたい。(村)