《ニュース》

北大西洋条約機構(NATO)は3~4日にかけて、ベルギーのブリュッセルで外相会議を開催し、5年間で1000億ユーロ(約16兆4000億円)規模のウクライナ支援基金の創設について協議しました。

《詳細》

ウクライナ支援基金の創設はストルテンベルグNATO事務総長の提案で、7月に米ワシントンで開催されるNATO首脳会議での最終決定に向けて協議を進めるとしています。軍事支援の中核を担うアメリカで約600億ドル(約9兆円)の追加支援が決まらない中、NATO独自のウクライナ支援を継続するためということです。

これまではアメリカをはじめ、加盟各国とウクライナとの二国間での支援が中心でしたが、NATO主導での長期的な支援を目指すことになります。また、アメリカ主導のウクライナ軍事支援の関係国会議(UDCG)をNATOに移管することも検討しているといいます。

今回の基金創設の背景には、11月の米大統領選における「トランプ再選」への懸念もあるとされ、ウクライナ支援の転換を宣言するトランプ新政権の発足に備え、独自の新たな防衛の枠組みを構築する狙いもあると見られています。

ストルテンベルグ氏は「ウクライナに対する長期的で予測可能な安全保障支援を確保しなければならない。短期的な提案ではなく、複数年にわたるより多くの確約を提供しなければならない」と述べています。

ただ、NATOの決定には加盟国32カ国の合意が必要ですが、今回の外相会議ではハンガリーが反発したほか、スペインやイタリアも慎重な姿勢を示しました。財源確保などの課題もあり、基金が成立するかどうかは不透明だとのことです。

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