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中国の医薬品規制当局が、日本の化粧品大手「ホーユー」の愛知県の工場をオンラインで調査し、生産工程の問題を指摘して商品の輸入を停止したことが分かったと、このほど共同通信が伝えました。

《詳細》

中国国家薬品監督管理局(NMPA)は2023年11月16日、ホーユーの商品について生産管理に関する法律に違反している疑いがあると公表しました。

共同通信は23年12月28日、NMPAが愛知県瀬戸市の工場の生産工程をオンラインで確認する調査を実施し、白髪染めの生産工程が中国への報告資料の内容と異なるなどとして対応を求めており、商品の輸入を停止したことが分かったと伝えています。ホーユーは共同通信の取材に対し、「当局の指導に基づき対応していく」とコメントしています。

今回の調査が強制ではなく「任意調査」という形で行われているため、国家主権の侵害には当たらないとみられています。ただ、中国事業を継続するにあたっては、企業側が当局の調査を拒否することは困難だったとの見方もあります。

現代中国が専門の興梠一郎・神田外語大教授は共同通信に対し、今回の化粧品工場に対するオンライン調査も技術獲得を狙った動きであって、「生産工程に関わる技術の開示を求めた事実上の圧力行為」とも言えるとし、特定の企業を選んで調査し、業界全体に揺さぶりをかけようとする意図も透けるとコメントしました。

なお、中国では今年1月から、安全性の確保という名目で、外国企業を含め、化粧品に使用されている原料や詳細な成分の割合を全面的に開示することが義務付けられています。日本企業がこれを順守しなければ、貿易による中国向けの販売が禁止されることとなります。

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