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世界的なガソリン価格の高騰をめぐり、バイデン米政権は、イタリアとスペインの石油大手に対し、制裁を科していたベネズエラからヨーロッパへの原油出荷を認めました。6日付ロイター通信が報じました。

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米ABCが6月に実施した世論調査によると、バイデン政権のガソリン対策への支持率は27%に過ぎないといい、多くの国民が価格の高騰に不満を持っています。政権は"その責任はロシアにある"と追及していますが、ロシア―ウクライナ戦争が長期化する見通しを受け、秋の中間選挙までにガソリン価格を下げる必要性に迫られており、内政問題の解決を優先した形です。

ロイター通信によれば、バイデン政権はベネズエラに対する制裁を緩和することで、ヨーロッパのエネルギーに関するロシア依存を下げるとともに、中国向けのベネズエラ産原油の一部がヨーロッパに振り向けられることを期待しています。ただし、イタリアなどの石油会社がベネズエラから運ぶ量は多くはなく、国際価格への影響は限定的であるといいます。

さらに、バイデン政権はイラン産原油の供給拡大を認める可能性があることに加え、サウジアラビアのさらなる増産を引き出すことで、ガソリン価格を下げる狙いがあると言われています。一方で、それらがロシアの穴を埋めるほどのインパクトはなく、新型コロナウィルス感染対策の緩和により、エネルギー需要も増えているなど、どの程度の値下げ効果があるかは未知数です。

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