2024年5月号記事

トランプの経済新政策を予測する

─繁栄か没落か、未来を決する歴史的選挙が近づく─

トランプ氏は復活したら、何を成し遂げるのか。「新経済政策」を探った。

秋のアメリカ大統領選挙で、バイデン大統領とトランプ前大統領が再対決することになった。3月半ば、両者は党の指名獲得に必要な代議員の過半数を獲得し、「もしトラ」が現実味を帯びてきた。

「トランプ人気」の主因は、インフレによる生活難が背景にある。バイデン政権発足後、食品は21%、ガソリンは34.6%、住宅ローンの支払いは66.5%も上昇した。アメリカの一般家庭では、収入の減少と借入コストの上昇が相俟って、年収が6800ドル(約100万円)減少した。4年前よりも明らかに貧しくなっており、経済が大統領選の一大争点となっている。

勝敗を決する黒人票はトランプに流れる!

米ニューヨーク・タイムズ紙が3月2日に発表した世論調査でも、実に黒人の26%とヒスパニック系の37%が、トランプ氏の政策のほうが彼らの暮らしを楽にするという理由で、「トランプ氏に投票する」と答えている(*1)。

2017年に発足したトランプ政権による戦後最長の景気拡大を目の当たりにし、共和党で黒人のティム・スコット上院議員は、「こんなに多様な人々を包容した時代はなかった」と称えた。マイノリティの人々がこの好景気を覚えていないはずはない。この黒人票の落ち込みは民主党にとって死活問題だ。16年の大統領選でヒラリー・クリントン氏がトランプ氏に負けたのは、黒人票が12年の大統領選よりも、5%落ち込んだことが原因だった。今回の落ち込みはそれを遥かに超えるかもしれない。

(*1)Cross-Tabs:February 2024 Times/Siena Poll of Registered Voters Nationwide

「経済的成功が国を一つにする」

急増する債務返済に、バイデン氏は富裕税の導入で対応すると息巻く。

しかしトランプ氏の17年の減税・雇用法(TCJA)が功を奏し、納税額は過去最高を記録。それにもかかわらず約1.5兆ドルもの赤字を計上したのは、コロナ後もバイデン氏が約6兆ドルもの予算案を組み、歳出を膨張させたからである。同氏が就任後何もせず、コロナのための緊急支出を失効させていれば、予算は今ごろ均衡していたという分析もあるほどだ(*2)。

トランプ氏は今年3月のスーパー・チューズデー(*3)後の演説で、「1期目の経済的成功が多様な人種を一つにして国をまとめた。それは美しいことだった」と述べ、その成功を再度実現し、国を一つにすると意気込みを語った。

実は、トランプ氏には特別な才能がある。アメリカ建国の父ジョージ・ワシントンと同様に、相異なる意見を聞き入れてまとめあげる力だ。現在進行形でトランプ氏に影響を与えている同氏の経済顧問ラッファー博士らサプライサイドの経済学者や、トランプ復活で政権入りの可能性の高い、元通商代表のライトハイザー氏らの見解を踏まえつつ、税制、貿易、エネルギー政策について、第2次トランプ政権の経済政策を予測してみよう。

(*2)E.J. Antoni, Bidenomics Defined: What Every Voter Should Know
(*3)各州の予備選や党員集会が集中する2月または3月上旬の火曜日で、候補者選びのヤマ場の日。

※文中や注の特に断りのない『 』は、いずれも大川隆法著、幸福の科学出版刊。
 

 

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