2日、メディア王マードック氏の率いる米ニューズ社が、アップル社の「iPad」専用の日刊ネット新聞「ザ・デイリー」をスタートさせた。購読料は週99セント(約80円)、年間契約だと39.99ドル(約3300円)。4日付け朝日新聞はこれを取り上げ、「新聞業界が長年模索してきた『ネット新聞への課金』を促すきっかけになるか」としている。

「ネット上の情報はタダ」という通念がユーザー側に広く存在するなかで、課金制のネット新聞はビジネスとして成り立つのか?――。新聞社はこの問いの答えを模索してきた。世界的に見ても、課金で成功しているネット有力紙は米「ウォールストリート・ジャーナル」と英「フィナンシャル・タイムズ」の2つだけと言われている。ある書籍はこの2つについて、こう論じている。

「両サイトの成功の秘訣は、コンテンツに尽きるでしょう。(中略)いかにしてコンテンツの価値を高めるか。課金問題はこの問いに凝集されます。(中略)もし他紙や無料サイトで同じ情報が読めるなら、ほとんどの人は有料会員にならないと思われます」

ネット上のメディアは、情報入手の速さや利便性、物理的コストの安さでは自己を差別化できない。今後は、情報や意見の「正しさ」「先見性」「幸福や成功への役立ち度」などのコンテンツ価値にこそユーザーはお金を払い、価値の低い情報にはお金は払わないという流れが、一層はっきりするだろう。(T)

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