新聞を読んでいる人ほど、年収が高いという統計があります。

キャリアインデックス社の調査によると、年収1000万円以上の人の92%は新聞を読んでいました。一方、年収700万円以下の人は、5割程度しか新聞を読んでいませんでした。

同調査では、「日々の情報に敏感な方が、会社や地位も高くなる」と分析されています。仕事上の危機を避けたり、チャンスを掴む力、人脈の質や、社会的な影響力が変わってくるからでしょう。

とは言っても、「新聞に書かれているような政治経済の話は、正直苦手……」という人も多いはず。本欄では、その苦手意識を、無理なく克服するコツを3つご紹介いたします。

(1)ニュースだけでもちゃんとチェックする

1つ目は、単純ですが、一番大事です。それは、「ニュースだけでもちゃんとチェックすること」。

もちろん、一念発起して、教科書的な本を買い、頭から読んでいくのも悪くはありません。しかし、それだけでは三日坊主になりがちです。

初心者が政治経済を学ぶ上で一番大事なことは「いかに自分の関心をマネジメントするか」。

同じく政治経済の話題でも、関心を持ちやすく、頭にも残りやすいのは、「今起きていること」「明日の話題に出そうなもの」。つまりニュースです。

例えば、「高速増殖炉『もんじゅ』が廃炉になりそう」というニュースを見つけて、はじめて「『もんじゅ』って何だろう」という関心が、かすかに頭に残ります。

その後、折に触れて『もんじゅ』について書いたニュースや解説を目にする中で、雪だるま形式で関心と知識が増していきます。

現在、時事問題に詳しい人の多くは、この過程で詳しくなってきたはずです。

大川隆法・幸福の科学総裁は著書『感化力』の中で「政治や経済の問題に対する苦手意識を克服するには」という質問に対して、こう答えています。

「ある分野に対する苦手意識を克服するには、その分野に関心を持つことが必要です。

関心を持てば、いろいろなかたちで情報が入ってきます。テレビ、ラジオ、新聞など、情報源は数多くあります。まず関心を持つことです。そうすれば、必要な情報は集まってくるのです。

政治・経済については、時事ニュースなどを見ているだけで、かなりのことが分かります」

政治経済の、ある内容について興味を持つ「最初のひと鍬」が、ニュースです。一見興味のないニュースも、ただの「食わず嫌い」で、思い切って触れてみると、案外面白かったりするものです。

ここで一つ注意点があります。一般的なネットニュースに頼り過ぎないことです。

元「週刊こどもニュース」ディレクター杉江義浩氏は、本誌2016年2月号の取材にこう語っています。

「まずネットニュースの落とし穴について知る必要があります。

新聞を広げれば、興味のあるニュースでなくても、自然と目に入ってきます。関心分野を広げるには、こうした『きっかけ』が意外に大事になってきます。

一方、ネットニュースは、検索したり、リンクをたどることで、一つのことを深く調べる点で便利です。しかし、興味のないことは目に入りにくいもの。新聞と同じように読んでいたら視野が狭まってしまいます」

経営コンサルタントの小宮一慶氏も、本誌2016年2月号の取材にこう答えています。

「私はいつも、経営者や企業リーダーを目指す人たちに、『経済新聞の1面は必ず読むように』と言っています。(中略)新聞を読む方でも、自分が見出しに反応した記事しか読まない方が多いです。しかし、一面記事は、ベテラン記者が『これは大事だ』と思って選択したもの。世の中の関心に自分の関心を合わせる訓練として、幅広く読むようにするべきです」

新聞の一面などのように、「情報選択」の働いているニュースを、5分なら5分と決めて一通り目を通してみてください。ニュースサイトを10分間"サーフィン"するよりも、何倍も効果があるはずです。

(2)オピニオンのある解説を読む

2つ目のポイントは、ニュースでも本でも、「オピニオンなど、結論のはっきりしているものを読む」ことです。新聞で言えば社説欄などに当たるでしょう。

ついつい「知識を学ぶには教科書のような中立なものがいい」と思いがちです。しかし、「要は何が言いたいのか」が分からないとき、人は「難しい」と感じます。

そのため「○○入門」と銘打って、分かりやすく書いてある本も、中立的に書かれすぎているものは、なぜか頭に残らないのです。その事は、多くの方が、学校の教科書などで実感されたのではないでしょうか(笑)。

例えば、「日銀がマイナス金利なるものを始めた」というニュースの解説を淡々と読むよりも、「マイナス金利は資本主義の精神を傷つける」という主張とセットになった解説の方が、「マイナス金利はどういう仕組みか」という内容が頭に入りやすいはずです。

主張のあるものは、単なる情報ではなく、一種の「知的結晶化」がなされているわけです。

(3)会話を想定して学ぶ

3つ目のポイントは、ニュースないしは本の内容について、「人に話していることを想像しながら読む」ことです。

これは一度、新聞でも何でもいいので、試してみて下さい。漠然と読むのと比べて、ポイントを掴みやすく、自然と記憶にも残りやすくなります。

そして時々、実際に会話の中でニュースについて語れる瞬間があります。それがさらなるモチベーションになるのです。

営業コンサルタントの長谷川千波氏は弊誌2016年2月号の取材にこう語っています。

「情報を得る時のポイントは、単に『へえ』で終わらせないこと。『なぜだろう?』『誰かの役に立てないか?』『セールストークに落とし込むなら?』と常に意識しています。

そうすることで、必要な情報が選択され、いつでも使える状態で『頭の引き出し』に入ってきます」

言葉を変えれば、アウトプットを想定して学ぶことが、勉強効率を大きく上げるのです。

以上、3点を1日5分習慣化することで、数カ月の間に時事問題について、自分の言葉で語れるようになるはずです。

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