教科書会社10社が、検定中の教科書を約4千人の教員に見せ、現金などを「謝礼」として渡していたことが22日、文部科学省の調査で明らかになった。

業界最大手の東京書籍は、教員2245人に対して検定途中の教科書を見せ、3千~3万円の現金や、3千~1万円相当の図書券を謝礼として渡していた。また数研出版は、教科書を採用する権限を持つ教育長や教育委員ら10人に、お中元やお歳暮を贈っていた。

馳浩文科相は会見で、「22社中12社が関わっており、規模を考えれば重大な問題だ。法律以前のモラルの問題で、今後は厳しく対応する」と述べた。文科省は、不正の情報提供を受け付ける窓口を設けるなど、再発防止策を検討。教科書の採用に影響があったか否か、調べを進めている。

"持ちつ持たれつ"の関係を築く、教科書会社と教員

教科書会社が、検定中の教科書を教員に見せたり、現金を送る行為は、文科省や教科書協会の規則で禁じられている。

ある中学校の教員は、「教科書会社の人は日頃からよく学校に来る。(中略)教員側からすると現場の声を教科書に反映してもらえるし、営業サイドはそれを知りたい。教員と教科書会社とは持ちつ持たれつの関係」と語ったという(22日付NHK NEWS WEB)。

教員も、謝礼を受け取れば、「その教科書を使わなければ」と思ってしまうのが人情だろう。教科書会社は、これを機に再発防止に努めてほしい。

左翼的な教員にも問題

一方で、教科書の採用をめぐっては、教員にも問題点が指摘されている。教育界では、左翼的な思想を持つ先生が多く、そのために、偉人教育などを軽視して、「悪平等」を助長する左翼史観に基づいた教科書が採用されやすい。こうした教育を受けた生徒は、健全な愛国心を抱くことができないでいる。

しかし、歴史の授業などで「坂本龍馬のような、偉人のようになりなさい」というように教えれば、子供たちも「将来、世の中のために大きな仕事をしたい」と思えるようになるはず。戦後から続く自虐史観にも終始符を打たなければならない。

教科書会社は本来、教員を物品で釣るのでなく、中身で勝負するべきだ。教員側も、「人間としてどう生きるべきか」を教え、「将来の夢」や「人生で何を成し遂げたいか」について考えさせなければならない。こうしたことを通じて、教育界は、子供の精神性を向上させる学校環境を整えるべきであろう。

(山本泉)

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