今年の12月5日、日本とトルコの合作映画「海難1890」が公開される。日本・トルコ友好125年を記念して、実話を元にして作られた作品だ。
その実話とは、1890年にオスマン帝国(現・トルコ共和国)初の親善訪日使節団を乗せた軍艦が、和歌山県沖で座礁・大破し、暴風雨の海に投げ出された乗組員618人を地元住人が献身的に救助し、69名の命を救った海難事故に端を発する。
「世界一の親日国」が生まれたこの出来事から95年後の1985年。イラン・イラク戦争が始まり、航空機に対する無差別攻撃の警告が発される中、215人の日本人救出のための飛行機を派遣できない日本政府は、トルコに救出を依頼。トルコの航空会社は撃墜される覚悟でテヘランに飛行機を飛ばした。しかしその時、テヘランには日本人と共に救出を求めている500人ものトルコ人がいた――。
シルクロードの果ての親日国
古来より、シルクロードの東の端と西の端として、お互いに憧れを抱いていた2つの国、日本とトルコ。その歴史や国民の気質には共通点も多い。国旗も、日本は「白地に赤の太陽」で、トルコは「赤地に白の月と星」だ。
文化的にも、2010年から連載が続く少女漫画『夢の雫 黄金の鳥籠』(篠原千絵著)は、オスマン帝国を発展させたスレイマン大帝とその周囲の人々を描いたもので、トルコは異国情緒あふれる憧れの国といったイメージが強い。
反日を"国是"とする近隣諸国との軋轢にいらだちを覚えることの多い昨今、時にははるか遠いシルクロードの果ての親日国に思いを馳せるのも、精神的に良いかもしれない。
宗教対立、人種対立による争いを終わらせるには
また、より積極的な観点から見ても、キリスト教国とイスラム教国が、その宗教的対立から大規模な戦争を起こすことを防ぐために、トルコとの友好を通して宗教・文化に対する理解を深めることは重要だ。
日本が世界に目を向けたとき、働きかける相手は、中韓だけでも欧米だけでもない。キリスト教とイスラム教、白人と有色人種、あらゆる人々の架け橋として、日本の果たすべき役割はこれからますます大きくなっていくだろう。中近東からアフリカにかけての国々にも、数十億の人々が待っている。(黒)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『世界紛争の真実 ミカエル vs. ムハンマド』 大川隆法著
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