安倍首相は、中国の海洋進出の野望に直面する東南アジアの国々との協力を強化しようとしている。6月2日には、フィリピンのアキノ大統領が来日する予定で、日本は国賓として迎えることになっている。

ロイター通信(27日付)によれば、日本とフィリピン両政府は、アキノ大統領訪日に合わせて防衛協力を拡大する見通しだ。フィリピンは日本に対して、供与を希望するレーダーや艦載ミサイルなどの装備品のリストをすでに提示しており、海の防衛力を高めるあらゆる装備を求めているという。自衛隊が訓練などでフィリピンを訪問する際に、手続きを簡略化する協定などについても議論する予定だ。

今年は、3月にはインドネシアのウィドド大統領、5月にはマレーシアのナジブ首相が来日し、経済面・安全保障面で日本との連携を深めた。また、タイでは日本の新幹線方式を採用することが決まり、インドでも採用する見通しが有力になっている。日本は防衛面のみならず、インフラ輸出などの経済面でもアジア諸国と関係を強化している。

日本は戦後70年間、「世界の模範生」であり「平和主義者」だった

戦後の70年を見れば、中韓を除く世界の百数十カ国は、日本に対して「平和的で国際秩序を守る国だ」と見ており、日本に対する信頼感はかなり高いと言える。

一方、中国は、少なくともウイグルやチベット、内モンゴルを侵略し、南シナ海やアフリカなどその他の地域でも覇権を広げようとしている。

中国が南シナ海を埋め立てて人工島を作り、滑走路などを建設している場所は、フィリピンも領有権を主張している海域だ。フィリピンの目と鼻の先に、軍事基地を作ろうとしている。そうなれば、日本への威嚇ができると同時に、すでに軍事基地化している海南島と南シナ海に新設する軍事基地との間で、台湾や沖縄を挟み撃ちにする可能性もある。日本にとっても対岸の火事とは言えない事態になっている。

アジアの国々は日本に助けを求めている

フィリピンはかつて、今の沖縄のように「米軍撤退」を主張し、国内から米軍を追い出した歴史を持つ。米軍も軍事予算を削減する傾向にあり、アジアでの影響力が弱まりつつある。それゆえに東南アジア諸国は、いざというときは日本からの協力を仰ぎたいと考え、防衛協力を求めてきている。

やはり日本は自国の安全保障を磐石にするとともに、アジア諸国と連携して、安全保障と経済の両面から「中国包囲網」を固めるリーダーの役割を果たすべきだ。(真)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『真の平和に向けて』 大川隆法著

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