日本銀行は4月30日、消費者が購入する生活用品の価格変動を示す消費者物価指数の見通しを下方修正した。また日銀は同日、「経済・物価情勢の展望レポート」を発表し、物価上昇率が目標に達する時期を「2016度前半頃」に先送りすることを明示した。

日銀は13年4月の「異次元緩和」で量的・質的緩和を導入し、「2年程度で物価上昇率2%」という強気の目標を示したが、14年4月に達成時期を遅らせ、今回さらにずれ込むこととなった。度重なる達成目標時期の修正で、日銀への信頼が失われかねない事態だ。

その原因として、原油価格の大幅な下落などが挙げられているが、最大の要因は昨年4月の消費税増税の影響で個人消費の回復が遅れていることだ。

その証拠に、5月1日に総務省が発表した3月の家計調査によると、1世帯当たりの実質消費支出は前年同月比10.6%減で、消費税増税後の14年4月から12ヵ月連続のマイナスとなり、その下げ幅は東日本大震災時の8.2%減を超え、2001年以降では最大となった。

やはり消費税増税は、やってはいけなかった

景気の良し悪しは、「市場でお金が循環しているか否か」が重要だ。消費増税で、消費が冷え込み、市場に出回るお金が少なくなると、景気は悪化するのは当然である。

幸福実現党は2009年春の立党以来、一貫して「消費増税反対」「減税路線」を主張し、増税中止を求めるデモや署名運動などを行ってきた。

しかし、安倍政権は14年に増税に踏み切り、さらには17年には10%への再増税を行う予定だ。今後、よっぽどの特需が起きない限り、国民の財布の紐はもっと堅くなっていくだろう。今年4月下旬には、日経平均が2000年以来15年ぶりに2万円を突破するなどしたが、再び下落傾向に入った。

こうした状況を見越したかのように、大川隆法・幸福の科学総裁は今年の1月3日に説いた法話「帝王学の築き方」で、こう警鐘を鳴らしている。

「これから潰れかかる会社も出てくると思いますが、単なる『他からの救済』ばかりを願ってはいけません。(中略)突如、政府の方針もあって、『銀行がどんどん融資して助けてくれる』というような調子のいいこともあるかもしれませんが、そうした状況ばかりが来るとは思ってはなりません。『自分たちでできることは何なのか』ということを、やはり考えなければいけないのです」(『帝王学の築き方』大川隆法著)

本書のあとがきには、「 危機の時代を生きるリーダーの心がけに、何らかの参考になれば幸いである 」と記されている。政府の財政政策や金融政策で景気が良くなることもあるが、当然ながら、各企業はどんな状況を迎えても生き残っていくための方策を見つけていかなければいけない。(真)

【関連書籍】

幸福の科学出版刊 『帝王学の築き方』 大川隆法著

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