中国の中山大学の研究チームが投稿した、ヒト受精卵の遺伝子を操作したとする論文が、このほど中国科学誌「プロテイン&セル」に掲載された。ヒト受精卵の遺伝子改変の報告例は、世界で初めてとなる。
論文によると、近年普及している、酵素を用いて遺伝子を改変させる「ゲノム編集技術」を用いて、遺伝性の血液の病気に関する遺伝子の改変を試みた。目的の遺伝子の改変を確認した一方、目的外の遺伝子を改変してしまったケースも見られ、臨床実験にはさらなる検証が必要と結論づけた。
「ヒト受精卵の遺伝子を操作すると次世代にまで影響が及ぶ」という倫理的な理由から、世界の主な国には、受精卵の遺伝子改変を禁止する法律やガイドラインが存在している。論文はネイチャー誌やサイエンス誌にも投稿されたが、倫理的な理由から掲載を却下されたという。
また、ゲノム編集技術は発展途上の技術であり、目的の遺伝子以外も改変するなど安全面での課題が多い。さらに多くの国では、この新技術を受精卵に対して使うことは禁止されていない。そのため、政府から未承認のまま、ヒト受精卵の遺伝子改変の実験が進められる恐れがある。
遺伝子操作などの問題を考える際に、宗教的な観点は欠かせない。
受精卵の遺伝子の操作実験を進めることは、試験管ベイビーの誕生や、最終的には、クローン人間の創造につながっていくと考えられる。特にクローン人間は、臓器提供用に使われたり、奴隷階級としてロボット代わりに使われたりする危険性があり、新たな差別問題が生じる可能性がある。
受精卵の遺伝子操作などが進みつつある背景には、人間が唯物論に流れ、信仰心を失くし、「神に成り代ろうとしている」ということがある。
科学技術が進歩し、生活や社会が豊かになるのはよいことだ。だが、現代のように、科学の進歩によって唯物論が蔓延し、人々から「神に創られた存在である」という確信に基づく信仰心が失われるようでは、人間は実は退化していると言わざるを得ない。
科学技術が進歩すればするほど、人間の精神性や信仰心も向上していくような社会を目指すべきだ。(泉)
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