安倍首相は22日昼、ジャカルタで開催されたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)の60周年記念首脳会議で演説した。首相は、第二次大戦への反省を表明したが、村山談話や小泉談話に盛り込まれた「日本の植民地支配と侵略」や「おわび」といった、自虐史観に基づいた発言はなかった。

首相は、「侵略や武力行使で、他国の政治的独立を侵さない」という1955年バンドン会議で採択された「平和10原則」に触れ、「これらの原則を、日本は先の戦争の深い反省と共に、いかなる時でも守り抜く国であろうと誓った」と述べた。

さらに、戦後の日本の貢献もアピールしつつ、アジアやアフリカを「成長のパートナー」と位置付け、女性や若者ら35万人の人材育成を支援することを表明した。中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)などを通じて、アジア諸国のインフラ整備を進めることに対抗する狙いだ。

また、安倍首相と習近平国家主席は22日夕、バンドン会議に合わせて首脳会談を行い、日中関係の改善を図る方針で一致した。また、AIIBや歴史認識問題についても議論した。会談は和やかな雰囲気で行われたが、AIIBや歴史認識問題の意見の隔たりは大きいままだった。

首相の演説が、日本がアジアやアフリカで果たした貢献や人材育成という未来への投資について述べるなど「未来志向」であったことは評価できる。また、日本の侵略戦争を認めた村山談話を踏襲しなかったことについて、中国から批判も受けなかった。正論を述べれば、国際社会からは評価される。

ただ、中国が、AIIBの設立や軍備拡張、歴史認識の問題などを通じて、国際社会への影響力を強めようとしていることは事実だ。日本政府としては、中国に対して毅然とした態度で臨む必要がある。

中国の勢いを抑制するためにも、戦後70年を機に、安倍首相は今回の演説よりもう一段踏み込んだ、正しい歴史観に基づいた談話を発表するべきだ。

先の第二次大戦は日本の侵略戦争でなく、欧米による経済封鎖や日本人排斥運動で追い込まれた末の自衛戦争だった。さらに、先の戦争によって白人優位の人種差別が容認されない流れができ、欧米列強からアジアやアフリカの植民地は解放されたのだ。日本は先の戦争の「大義」と「正しい成果」を堂々と語り、国際社会の平和と繁栄の実現に積極的な役割を果たす国家を目指すべきだ。(泉)

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