「週刊文春」の記事をきっかけに取り沙汰された、下村博文・文部科学大臣の「政治とカネ」問題。国会では、野党からの激しい追及が続いている。

下村文科相には、塾経営者らがつくる「東北博友会」「中四国博友会」など全国6つの「博友会」という団体がある。その団体が下村文科相を招いた講演会を会費1万円ほどで開催。

その際に支払われたと思われる講演代が収支報告書に計上されていないため、会費の一部が裏金になっているのではないか、という疑いが持たれている。

また、全国の「博友会」の年会費が、下村文科相の政治団体への献金に充てられているとも疑われている。

下村文科相はこれまでの答弁でも、全国の博友会は「政治団体」ではなく「任意団体」であって、活動実態は分からないと主張。「任意団体」であれば資金の流れを報告する義務はない。また、各地域の「博友会」が主催する講演会に、下村文科相が登壇した際にも「講演代」や「お車代」などは受け取っていないとしている。

27日の衆議院予算委員会で下村文科相への質問に立った後藤議員が、「任意団体でパーティを開いて得た利益を、誰か別の名義で献金したのではないか」と指摘すると、下村文科相は「根拠はあるのか」と語気を荒げた。

ただ、報道によると全国の博友会への年会費が「個人献金」として報告されていた事例があるため、同じことが講演会で行われていても不思議ではないだろう。

また、実体が政治団体でも「任意団体」だと主張しさえすれば資金の流れを報告しなくてよいなら、「政治資金規正法」は機能しなくなる。同法は政治資金の透明性を守るためにつくられたもので、外国人からの献金を禁じるなどの制限も課している。「任意団体」という下村文科相の言い訳が通じるなら、同法をすり抜けて本来なら禁じられる献金も受け取ることができるため、多くの政治家にとっても"錬金術"になりうる。

「東北博友会」の松良千広会長は、会長に就任した2013年頃、前執行部から引継ぎを受けた際に、会費収入を政治献金に充てるよう指示されたと明らかにしている(28日付河北新報社ネットニュース)。松良氏の代からは会費の全額を運営に使っているというが、全国の博友会にも同様の実態があると見る方が自然ではないか。

政治資金規正法の趣旨に反し、政治資金を誰が工面しているのかが国民に見えない状況にある下村文科相。他の人が真似すべきでないようなことを行う人物を、教育行政の許認可権を握る長に置き続けていてよいのだろうか。(居)

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2015年2月27日付本欄 任意団体の会費が個人献金に 下村博文・文科相の答弁と食い違い

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2015年2月26日付本欄 【速報】下村博文文科相が「違法献金」 週刊文春報じる

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2014年12月11日付本欄 下村博文文科相の金銭問題について地元市民グループが告発

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Web限定記事 「政治とカネ」の問題を追及されている下村博文・文科相の本音とは?

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